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  3. 第5回 感染症からペットを守るワクチン接種

にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.5

犬や猫の安全と危険回避

感染症からペットを守るワクチン接種

犬や猫たちには感染症の危険がいっぱい

犬や猫にも、人間と同じように様々な感染症※があり、なかには一度かかってしまうと完治が難しいものや死にいたる怖いものもあります。生まれてまもない子犬や子猫は、母親から母乳を通じてそうした感染症に対抗する免疫をもらっていますが、この免疫はおよそ生後40~50日で減少し、やがてなくなってしまいます。そのために子犬・子猫の時とその後1年目の正しい時期のワクチン接種はとても大切です。その後は、生活環境に合わせてワクチンを選び、追加接種をして感染症から守ります。

計画的な接種が感染症予防のポイント

生まれて初めてのワクチン接種は、母親から受け継いだ抗体が残っているとワクチンが中和されてしまうため、確実な免疫をつくるために、母親からの免疫が低下してきた生後40~50日くらいからおよそ3週間毎に2~3回接種を行います。その後は免疫が持続するように、定期的なワクチン接種により感染症を計画的に予防するプログラム(ワクチネーションプログラム)にそってタイミングよく接種を行うことで、感染症を効果的に予防することができます。

日本では、最初のワクチン接種から1年目以降は1年に1回接種することが一般的ですが、ペット先進国であるアメリカでは、3年に1回で予防が可能な新しいプログラムも広まりつつあります。

大切な命を左右するワクチン接種

子犬の命を左右するジステンバーやパルボウイルス感染症、また子猫にも猫伝染性鼻気管炎や猫汎白血球減少症のようなワクチン接種以外では防ぐことのできない病気があります。なかでもパルボウイルス感染症などは強いウイルスであるため、特定の消毒法でなければ完全な滅菌をすることもできません。当然このような理由から、ペットショップのように子犬や子猫が沢山集められるところに母親からの抗体が下がった50~60日の子犬や子猫が来れば感染する可能性は非常に高くなります。ですから、新しい家庭やペットショップに迎える際は、生後50日頃に第一回のワクチンを接種してから1週間くらいして、おおよその抗体を保有してから移動することで、多くの大切な命を救うことを理解していただきたいものです。

まず獣医師に相談しましょう

ワクチンによって予防できる病気は犬では9つ、猫では4つほどあります。どのワクチンをいつ接種すればよいかは、犬や猫の年齢やライフスタイルによって違ってきます。混合ワクチンも様々な種類があるので、獣医師に相談して必要なものを選んでもらいましょう。

※感染症… 細菌やウイルスなどの病原体が体の中に入って増殖し、様々な症状がでること。

飼い主の義務、狂犬病予防注射も忘れずに

日本では、狂犬病予防法により生後91日以上の犬は飼いはじめてから30日以内に1回、その後は毎年1回狂犬病ワクチンを接種することが義務づけられています。幸い日本では40年以上狂犬病は発生していませんが、周りのアジアやアフリカなどではいまだに動物や人の狂犬病発症例がみられます。狂犬病予防注射は、もし狂犬病が入ってきた際に伝染を抑える「防波堤」の役割をするもので、疫学的にもとても大切なのです。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)