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にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.21

犬や猫のストレス回避

問題行動とサインを見逃さないで!

犬や猫と一緒に暮らしていると、時には困った行動に会います。

人間の立場からいうと「迷惑な行動=問題行動」ですが、これはあくまで人間の立場から見てのこと。犬や猫にとってごく自然の行動であることが多く、そのことを理解して上手にしつけをしましょう。

犬の問題行動

犬の場合、一番に多いのは「無駄吠え」です。ところが行動学の中では「無駄吠え」という言葉はないと云ってよいでしょう。犬が鳴くのに各々に理由があります。例えば、要求であったり、攻撃であったり、恐怖、痛みの声であったりと、全て何かのサインです。どんな時に何を表現しているのか、その理由の解決から始めましょう。

次に人や犬などへの攻撃や、飼い主の願っていないところでの排泄です。このような行動も社会化(様々な場面で様々なことに慣れていくこと)が充分に出来ていなかったり、ストレスが多くて排泄の場所を違えたりします。このような問題行動の原因は、80%近くが「運動不足」といわれています。寂しさ、不安、退屈、運動不足等のストレスから散歩で会った人や犬に吠えたり留守中にじゅうたんを噛んだり、カーテンをちぎったり、吠えたり、ものを壊したりします。犬は人と同じように群を作って生活する動物です。家族と共に生活することを願っています。そのためには迎えた日からの家族の対応がとても大切です。

排泄の失敗をすると飼い主は「しつけが出来ない」「いつもまでも覚えない」と思いがちですが、犬にとっては、「自分に注意を向けて欲しい。」「ここは自分の縄張り。」「トイレが汚れているので使いたくない」と様々なサインを出しています。また、本当にどこでして良いのかも迷っていることが多いものです。このような行動はただ叱っていても悪化するばかりです。必ず原因を調べて、犬にも理解出来るしつけを、そして良い行動をたくさん褒めて良い関係を作りながらしつけをしましょう。

猫の問題行動

猫との暮らしで最も問題になるのが、トイレの失敗と爪研ぎ行動による室内を傷めることです。本来猫は適切なトイレを準備すればとてもしつけの楽な家族です。猫は生活の範囲内の安心して使える場所に清潔なトイレを準備すれば殆ど失敗しません。猫がトイレの失敗をするのは、外からのストレス、室内の変化や知らない人の出入り、トイレの汚れなどからです。

猫の爪研ぎもごく自然の行動です。その目的は不要になった爪を落とし、鋭い爪を作るため、また周囲の木などに立派な爪あとと臭いを付けることで、テリトリーを誇示しています。ある程度しつけの習慣が身に付くまでは、爪研ぎをされそうな布製のソファー、イス、柱の近くには猫を近寄らせない、又は代わりに使える適切な爪研ぎを置くとよいでしょう。猫のしてはいけない行動はその寸前にNO!などと制止しましょう。

猫のタイプをみると、

  • (1) 人間大好き、自分からすり寄って来る猫。
  • (2) 人間を無視しているが、触られるのは平気な猫。
  • (3) 音がしたらすぐ逃げてしまう猫。

など様々です。

来客が来るだけでストレスになる猫にはいつでも潜り込めるベッドなどを準備しましょう。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)