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  3. 第27回 複数の犬や猫と暮らす

にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.27

犬や猫と暮らすということ

複数の犬や猫と暮らす

最近、犬や猫を複数に飼うお宅が増えています。よく多頭飼いとも言われますが、動物たちは、多すぎると飼い主共々決して幸せではありません。もちろん複数の犬との生活や散歩は楽しく、犬同士・猫同士が遊ぶ姿を見る楽しさを味わえる魅力もあります。しかし複数飼いをする場合に起こってしまう問題も沢山あります。飼い主も動物も共に幸せに暮らせるために、ルールとして考えてみましょう。

ルールその1 先輩犬、先輩猫を大切に

複数飼いをするときに、一度に3頭迎える方はあまりいないものです。多くは最初に1頭飼っていて、「寂しそうだから」と1頭また1頭と飼うことが多いようです。このような時に一番注意しなければいけないのは「前から住んでいる動物と幸せに暮らせるのか」ということです。人はどうしても前からいる動物よりも、新しい方に注目してしまいます。それによって前のコが寂しくなったり、自分のテリトリーが取られてしまうと感じ新しいコとの間に争いが起こるようなことになります。

ここで大切なことは、とにかく先輩を大切にすることです。新しく来たコが子犬であれば、特にしつけの為に声をかけたり、世話をすることが多くなります。そのことを理解して先輩を褒めて気を配るよう心がけてあげましょう。具体的には、膝に乗せたり抱いたり、食事をあげる時、先輩犬、先輩猫から先にしてあげましょう。そうすることで、前からいるコは「新しいコが側にいても、自分は普段よりたくさん褒めてもらえる。」と感じるようになり、新しいコが側にいることをそれ程嫌わなくなります。ただし、急には慣れる訳ではありませんので、人のいないところに動物だけを置くことには注意が必要です。

ルールその2 先輩のテリトリーを乱させない

また、先輩のテリトリー(ベッドやトイレなど)に新しいコが勝手に入って使ったり、遊んだりしないように注意をしましょう。そのことがストレスになって、生活のリズムが乱れて粗相をしたり病気を引き起こすこともあります。

このようなことから先輩のしつけまで乱れてしまうと、一層大変なことになります。

ルールその3 先輩犬・先輩猫のしつけが完了するまで増やさない

しつけの点では、新しいコを迎える時までに、先輩のしつけが完了していることがたいせつです。新しいコを迎えた先輩の戸惑いや好奇心、守備本能などから、思わぬしつけの乱れが生じて、両方のしつけに苦労することになります。

特に猫の場合は多頭飼いをしても比較的早く慣れてくることが多いようですが、後から来た猫に自分のベッドやトイレを荒らされたりすると、先輩の猫が家出してしまうことさえあります。猫は「場所」を大切にする動物ですから、その「場所」の居心地が悪くなれば、他を選んで出て行ってしまうのです。飼い主の生活環境も様々ですが、一般的に犬2頭、犬と猫1頭ずつ位までが、日中仕事に出る家庭での限度です。スペース、時間、財力が整っていれば複数の方が留守を守る動物たちにとって、淋しさも紛れて、活動も多く良いことです。また、日中も家族がいて、十分にケアが出来る場合でも、小型犬や猫で3頭位までがベストです。本当に心を通わせることは、多すぎれば出来ないことです。どのコも自分が愛されることを強く願っているからです。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)