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  3. 第29回 犬と猫の肥満について

にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.29

犬や猫の健康管理

犬と猫の肥満について

最近は、人も「メタボリック症候群」などと肥満と健康について関心が高くなっていますが、共に暮らす犬や猫の肥満も注目しなくてはなりません。

ことに室内飼育が増えていることから運動量が足りなかったり、飼い主の食事につき合ってしまうなど様々な問題がみられているからです。

肥る原因

犬や猫は人と共に室内で暮らすようになり、家族との接点が広がり能力が伸び、愛情の絆も深く、しつけも十分され、健康管理も良くされて幸せですが、様々な問題も生まれます。それはスペースが狭い、飼い主が多忙で運動が十分行われていない、家族の食事につき合ってより美味しいものを覚えて、それを要求し、摂りすぎてしまうなどが肥満の原因となってしまいます。

これらの原因の他に、内分泌(ホルモン)系の病気などが原因で肥ることもあります。

また、年齢や活動性に比べ、必要以上のカロリーを持つフードを食べ続けていることもあります。

犬や猫は「これを食べたら肥る」とか「肥ったら病気になる」と言うことはわかりません。

しかし、人のように自分で食物を求めて食べたりはできないのですから、家族が日常注意してケアーをすることで肥満は予防できます。

犬や猫の肥満による危険性について

犬の肥満については比較的家族や周りの人が気付いて「肥っている」と言いますが、不思議なことに猫については「立派」とか「かわいい」と表現してあまり問題視しないことが多いのですが、猫にも肥満から糖尿病、心臓病など様々な命に関わる病気が発症します。また、犬の肥満も糖尿病、心臓病に加えて、関節疾患や呼吸器の病気などの様々な病気の原因となって寿命を短くしています。

愛犬や愛猫が肥満かなと思ったら・・・

そこで、犬や猫が「肥りすぎ」と感じたときは、必ず健康診断を受けさせ、肥満から病気が起こっていないかを調べることが大切です。もし幸いにも今、病気が起こっていなければ、体重を減らして病気の予防に努めて下さい。動物病院で適切なフードの処方や現状にあった運動方法などを相談して下さい。

また、犬や猫が、肥満かどうか判断が難しい場合には「ボディコンディショニングスコア」という、五段階で犬や猫の肥満状態を調べる図表が動物病院にあります。自分の犬や猫がどの段階にあるのか、簡単な触わり方で判断することが可能ですから試してみて下さい。

その結果肥満の段階(4以上)に入っている、または入っている可能性があれば、動物病院で健康診断を受診されることをお勧めいたします。肥満は病気です。

肥満の解消法

肥満の解消法ですが、健診も受けないで急に運動量を増やしたり、食事を減らすことは危険です。第一に検診を受け、他に病気のないことを確認して下さい。

<食事>

食事については年齢、活動性、嗜好などに合わせた処方を受けて少しずつ切りかえます。肥満であるからと急に食事の量を減らせば犬や猫は理由が分からないので、不安や不満を持ち、心にも体にも良くありません。ローカロリーのフードのフードに切りかえれば、食事の量を減らさないで摂取カロリーを減らすことができますので獣医師に処方してもらい活用して下さい。ローカロリー食も総合栄養食となっていますから、他の食品と混ぜないことが大切です。

<運動>

肥満の犬は多くの場合、心臓疾患や関節疾患を持っていることが多いので、運動は健診を受けてから始めましょう。室内での運動はかくれんぼやボールを投げて遊ばせたり、屋外では散歩の距離を少しずつ多くしたり、病気がなければロングリードで走らせるなど無理なく楽しく運動させ、日々の生活に活気を持たせて下さい。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)