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  3. 第33回 アニマルセラピー(動物介在活動、動物介在療法、動物介在教育)について

にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.33

犬や猫と暮らすということ

アニマルセラピー(動物介在活動、動物介在療法、動物介在教育)について

最近はアニマルセラピーと云う言葉をよく耳にする機会が多いと思います。アニマルセラピーと云う言葉は確かに動物と接することで、何らかの癒しを受けることであると理解出来ますが、日本でも、また世界各国でも行われているこの活動は、各々の活動内容によって動物介在活動(アニマル・アシステッド・アクティビティ=AAA)、動物介在療法(アニマル・アシステッド・セラピー=AAT)、動物介在教育(アニマル・アシステッド・エデュケーション=AAE)に区別されて、アニマルセラピーと云う呼称は使いません。各々の活動内容を確認して正しく使う必要があります。

人間と犬や猫との関係

人間の社会の中で長い歴史を共に歩んできた犬と猫は、既に還る自然を失わせ人の社会の一員、また家族の一人となっています。そして私たちにとっても長い時間を共に過ごしてきた犬や猫は、不可欠な存在で、お互いに選び選ばれた存在です。こうして社会の一員、家族の一人となった動物たちは、適性があればその適性に合った仕事をするということは、動物たちへの正しい理解者を多くすることでもあります。このように社会の中で仕事を担う動物たちとして最も大切なことは、その動物の「適性」です。適性のない動物を働かせようとすれば、動物にとっても人にとっても良い結果は望めません。

動物介在活動(アニマル・アシステッド・アクティビティ=AAA)

動物とふれあうことによる情緒的な安定、レクリエーション、QOLの向上等を主な目的としたふれあい活動。一般にアニマルセラピーと呼ばれる活動の多くはこの活動です。

動物介在療法(アニマル・アシステッド・セラピー=AAT)

人の医療の現場で、専門的な治療行為として行われる動物を介在させた補助療法。医療従事者の主導で実施します。精神的身体的機能、社会的機能の向上など、治療を受ける人に合わせた治療目標を設定し、適切な動物とボランティア(ハンドラー)を選択、治療後は治療効果の評価を行います。

動物介在教育(アニマル・アシステッド・エデュケーション=AAE)

小学校等に動物と共に訪問し、正しい動物とのふれあい方や命の大切さを子どもたちに学んでもらうための活動。生活科や総合学習などのプログラムとして取り入れる学校も徐々に増えています。

日本における動物介在活動は、24年前に現公益社団法人 日本動物病院福祉協会の獣医学と医学を通じて人の福祉と健康と教育に貢献することを目的にスタートしました。その後今日までの23年間に全国でこの活動は、10,500回を超えましたが、多くのボランティア(飼い主)の方々とその家族(動物)たちのおかげで特記する事故もアレルギーの発生もなく、益々多くの施設、病院、小学校から訪問活動を希望されています。 このような活動はボランティアとして行われていますが、事故は決して許されません。そのためには、実際に活動を始める前に多くの準備が必要です。

動物を介在することの大切さ

多くの方々は健康で美しく、よいこの動物が近くにいると、心が安らいだり、楽しく運動が出来たり、表情が自然と柔らかくなることを経験されていることでしょう。このように人の歴史上に築かった、動物たちとのふれあい効果(相互作用)には、今、福祉や医学、教育に活用するために新しい科学の目が向けられています。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)