1. 犬家猫館.com
  2. にゃるほど犬猫塾
  3. 第34回 犬や猫の高齢化対策

にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.34

犬や猫の健康管理

犬や猫の高齢化対策

動物医療の進歩やペットを取り巻く環境の向上で、犬や猫も長寿となり、高齢化が進んでいます。

また、昨今は日本でも犬や猫と一緒に暮らすことはすっかり当たり前になりましたが、高齢化していく動物たちと暮らすにはどのような心構えが必要なのでしょうか。

犬や猫の高齢化の症状

「いつも上がっている階段やベッドに上がれない」、「眠り込んで気がつかない」、「粗相をするようになる」など、犬や猫の『老化』も人と同じように身体的な老化と、精神的な老化がみられます。

『身体的な老化』では体内の器能が衰えてきたり、免疫が低下して病気になりやすくなります。特に皮膚や感覚器、心臓、血管、内分泌(ホルモン系)、生殖器系、泌尿器系、骨格、神経、などのあらゆる病気にかかる率が増えます。

『精神的な老化』は人と同じように主に認知能力の低下です。犬の認知症の70%以上が日本犬(柴犬やその雑種犬)にみられます。症状としては、人の見分けが出来にくい。何回も食事をねだる。理由なく吠える。排泄他の失敗をする等、様々です。 視力、聴力、触覚、嗅覚などの衰えから自信のない歩行や食べたことを忘れる、睡眠時間も昼夜の逆転による夜間徘徊、夜間の異常な吠叱などさまざまな症状が現れます。

このように老化の症状がみられても「もう年だから」とあきらめるのではなく、折あるごとに声をかけ、日ごろから健康管理に気をつけ、早めに対処しケアすることがとても重要です。

高齢化対策に重要な定期健診

加齢に伴って様々な病気が始まります。そこで、定期健診の間隔も短くする必要があります。犬や猫の年齢は、生後1年で人の15歳、2年で約20歳。10年では人間の45~50歳と換算されています。

また小型犬と猫の初老は7才から、大型犬は6才、超大型犬は5才ですから、各々に年1.2回の定期検診が必要になります。犬や猫は年齢の進み方が人間よりもはるかに速いので、年2回の検診が決して多すぎないことがおわかりいただけるでしょう。 6ヶ月に1回の検診は人の時の流れに換算すると30ヶ月(2年半)に1回検診を受けていることになります。

動物たちは、体調の変化を言葉では伝えることが出来ません。多くの場合、家族が気付いた時は、かなり進行していることが多いものです。

早期診断を受けてあれば、食事や生活環境を変えたり、必要な投薬を始めることが出来ます。

大切な家族としての動物たちと1日でも長く、健康で幸せに一緒に暮らせるように、高齢化対策についてしっかりと考えておきましょう。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)