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にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.35

犬や猫と暮らすということ

猫の完全室内飼育について

しばらく前までの日本では、猫は犬と同じようにペットと呼ばれながらも、自由を好む動物として、室内外を自由に出入りすることが可能な状態で飼われていました。また、飼い主のいない外猫たちは、野良猫、捨て猫と呼ばれ、不幸な生涯を終えていました。

しかし、人の生活様式も都市化が進み、多くの人々が集合住宅に生活するようになったことから、猫も完全な室内飼育が推奨でれています。また、地域の整備も進み、外猫の生活域も狭められ、地域猫として地域のボランティアや行政の協力を得て、適性な管理(不妊・去勢、マナーを守った餌やり、清掃)を受けている場面も多くなりました。

さて、犬は年毎、保健所(動物保護(愛護)センター)に連れて来られる頭数は、減少していますが、総頭数の減らない理由は、猫の数が減らないことです。猫は犬に比べると狭いビルの谷間でも出産や子育てをします。従ってセンターに連れて来られる猫の多くはその子猫たちです。

しかし、幸いなことに最近は、外猫、野良猫と呼ばれていた猫、即ち、町中や公園などで暮らしている飼い主のない猫を、地域の猫として、猫を幸せにしたいと願うボランティアの方々が保護し、不妊・去勢手術を行い、繁殖を防ぐことによって不幸な猫を減らし、地域の理解を得て、共に暮らせる地域猫ケアも進められています。

猫の室内飼育のすすめ

猫は本来森の動物です。自然の多い地域で暮らすのであれば、問題はないでしょう。しかし、都会で飼い主のない猫が暮らすのには、様々な問題があります。飼い主のいない猫、飼い主がいても自由に外出している猫は、関係のない人達に迷惑をかけ、トラブルの元になります。例えば、隣家の花壇に排泄をしたり、ガレージの車を汚したり、ごみを散らしたりと苦情の元になっています。何より都会の外猫には危険が一杯です。

猫の室内飼育を勧める理由
  • ・ 交通事故から守ることができる
  • ・ 感染症にから守ることができる
  • ・ ご近所との迷惑を防ぐ
  • ・ 十分な健康管理によって長寿が保たれる

猫の暮らす環境を整えましょう。

室内飼育をする以上、猫が室内で幸せに暮らせるよう工夫しなければなりません。猫にはワクチンで防げない病気があります。自由に外出していれば、感染の可能性は高く、短命になります。責任をもってケアすることは出来ません。

また、猫の交通事故はとても多く、防ぐのは外出禁止だけです。また、外出したまま帰ってこられないケースには、いろいろな家で食物をもらい歩いていることもあります。これも猫にとっては、自由で幸せそうに思えるかもしれませんが、猫には年齢に合わせた食事や、健康管理が必要です。

都市化の中で、散歩の必要のない猫との暮らしは、多忙な人、高齢などで散歩の出来ない人々の最良の家族です。

散歩が不要といっても、猫への食事、トイレの掃除、爪切り、ブラッシングや散歩代わりのおもちゃなどで十分に遊んであげることなどは必須で、飼い主にとって世話の楽しみにもなります。

猫にとって安住の地、室内生活、それは、自然から引き離したことにもなります。大切な家族として暮らす猫たちに、日々話しかけコミュニケーションをとって下さい。室内飼いの猫ちゃんの幸せは飼い主の責任です。

猫との暮らしは、心と体の大切な時間になることでしょう。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)