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にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.40

犬や猫のストレス回避

分離不安について

分離不安とは

犬は常に仲間と一緒に行動する動物、基本的にひとりきりになることが苦手です。特に家族と一緒の空間で暮らしている犬は、ひとりになるととても不安を感じるものです。こういった不安感から、ひとりになると吠えたりかじったり、穴を掘ったり物を壊したり、粗相したりします。これが「分離不安による問題行動」です。

分離不安は、飼い主が居なくなっても落ちついて留守番できるようになれば解消できます。分離不安の理由は色々ありますが、単純に寂しいだけでなく、欲求不満や恐怖などが原因でなる場合もあります。

分離不安にならないためのトレーニング

今回の震災で犬と一緒に避難所へ避難することになった方から、避難先で犬が鳴き続けて周囲に迷惑をかけて困った、というようなケースを多く耳にしました。そのような事態にならないためにも、犬がひとりで過ごせるしつけをきちんと行っておきましょう。

まず大切なのがサークルトレーニングやクレートトレーニングです。子犬を迎えたその日から一定の時間サークルの中に入れて慣らすことは分離不安にならない為のとても大切なしつけの基本です。このトレーニングに慣れると、ある一定の時間が経てば飼い主に褒められ相手をしてもらえることを学び、ストレスや不安もなく、安心して眠ったり、おもちゃで遊んで待っていられるようになります。良い子でいたら、ほめてサークルから出して遊んであげましょう。

子犬の時からサークルトレーニングを始めましょう

「子犬・子猫の迎え方」でもお話しましたが、迎える前にサークルを準備します。まず、自宅に着いたらサークルに入れ、サークル内の一遇に用意したペットシーツでの排泄が出来たら、沢山褒めましょう。排泄が出来たらしばらくサークルから出して近くで遊びます。決して広い部屋で自由にしないで、遊んだら安全なおもちゃと共にサークルに入れましょう。水、フードが一遇に用意してあれば出たがって鳴いても無視します。

飼い主が留守にする時はコング(硬いゴムでできたもので中におやつや食物を入れられるオモチャ)を複数用意します。要求の多い犬では最低6ヶ置きましょう。この数は動物行動学に基づいています。コングは色々なサイズ・形がありますが、犬の大きさに合わせて選びます。大きさが合っていれば噛みちぎったり、飲み込んだりすることもなく、長時間遊んでいられます。6個のコングにはそれぞれ違う味の食べ物(ペースト・おやつ・フード)を入れます。

犬は飼い主と離れてから最初の30分間に一番ストレスを感じます。逆に言えば、この30分間をおもちゃで遊んでいられれば寂しさを忘れやすいのです。6個のコングを与えておくと、コングの中から食べ物を取ろうと夢中になり、分離不安を感じなくなります。そして、初めは10分、次第に1時間、次は2時間・・・と留守の時間を長くしてトレーニングしていきましょう。慣れれば相当の長時間でも我慢して留守番ができるようになります。

犬には飼い主の生活パターンに合わせてストレスの少ない時間を保てるように育てる必要があります。小さい時に可愛さのあまり自由に育ててしまってからでは犬との楽しい生活が出来ません。このようなトレーニングは、共に支え合う健康的な生活の基本になります。

サークルの中を好きな空間に!

既に成犬になっている場合でも、同じようにトレーニングをすることで分離不安を解消できるので諦めないようにしましょう。成犬の場合は、大きめのサークルやクレートを用意し、その中に大好きな物をできるだけたくさん入れましょう。

そして、犬がサークルやクレートの中に入ったらたくさん褒めます。また、出てこようとした時は出てくる前に「待て」「お座り」をして、その時にすぐ褒めてご褒美をあげるようにしましょう。サークルやクレートの中で「伏せ」「待て」の練習をしてご褒美をあげるようにしていくと、囲いの中でじっとしていることが褒めてもらえること、と認識するようになります。

慣れてきたらサークルやクレートの扉を閉めましょう。この時、飼い主は傍にいて、良いお家ねと声をかけて励ますことも良いでしょう。次第に時間を長くし、これを繰り返すことでドアを開けていてもクレートやサークルの中が大好きな場所になります。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)