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  3. 第42回 正しい散歩のマナー

にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.42

犬や猫のしつけ

正しい散歩のマナー

犬にとって毎日の楽しい習慣が散歩です。

散歩には社会化、つまり外を見る勉強と、運動と、飼い主とのコミュニケーションといった役割があります。「都会で暮らしていると一緒に散歩する場所がない」と思いがちですが、きちんとしつけができていれば、どこでも散歩することができます。室内犬であっても健康であれば散歩は毎日の習慣にしてあげましょう。

散歩のマナー

散歩のマナーで大切なのは、まず周囲へ迷惑をかけないこと。それには飼い主の傍について歩く訓練ができていること。リードを長くして散歩をしている人を見かけることがありますが、他の人への迷惑を考えて飼い主の膝の横について歩けるようにしましょう。殊に散歩中の排泄は十分気をつけましょう。

排泄のルール

排泄については散歩前に自宅で済ませておくようにしましょう。『散歩=排泄の時間』にしないよう、散歩前に自宅で排泄するようにトレーニングしておけば、犬は「排泄が終わったら散歩に行ける」と喜んで排泄するようになります。排泄のご褒美に散歩、という流れにしておくといいですね。家で済ませておくことで散歩中に排泄する量が少なくなり、メス犬であればまず外ですることは無いでしょう。特に中型・大型犬の場合は家で済ませていても外で排泄することがあります。その場合は「うちのこは、家を出てこのくらいの距離を歩いたらまた排泄したくなる」と把握しておくことが大切です。散歩中にその距離に達したらなるべく迷惑をかけないように公園や裏道に立ち寄るようにします。外でする時もペットシーツや新聞紙を下に敷いて排泄するようにしましょう。

歩く時のルール

飼い主の横について歩く練習ですが、子犬のころからのしつけが大切です。子犬がリードを引っぱって歩いたら、「飼い主が名前を呼ぶ」→「子犬が立ち止まり飼い主の方を見る」→「おりこうね」近づいて来た犬を褒めて、ご褒美(おやつ)を喜ぶ犬には少量のおやつを与えます。このように教えておくと、犬は飼い主の近くに寄ったらご褒美がもらえる、と覚えるようになります。これでリードをぐいぐい引っ張って離れたところを歩くことを減らすことができ、拾い食いをすることも避けられます。

リードは絶対に放してはなりません。法律違反です。もし誰かを噛んだり誰かの犬を噛んだり、また道路に飛び出して事故になったりすれば、全面的にリードをはずしていた飼い主の責任になります。犬はいくつになっても五歳の子供と同じですから、絶対に手(リード)を放してはなりません。

他の犬と出会ったら

また、他の人や犬を見て吠えないようにトレーニングすることも大切です。前から犬が近づいてきた時に、自分の犬が大声でほえたりすると周囲の人々も犬はやかましい…と嫌われてしまいます。そういう時は飼い主がリードを短くしっかり持ちながらしゃがんで、「大丈夫だよ」と声をかけてあげながら、鼻先に大好きなおもちゃやおやつを見せたり、少しずつ食べさせて、他の犬への関心を少なくすることが出来ます。そして、犬が通り過ぎてしまってから「ほら、大丈夫だったでしょ、えらいね」と更にご褒美をあげるようにします。

散歩はどれだけしたら良いでしょう

散歩の適正な時間(運動量)は犬種や年齢によって異なり、個体差もあります。

健康で若い犬の場合、5kg以下であれば30分。中・大型犬の場合は1時間以上は欲しいですね。速いペースで歩けば運動量は上がります。そして、散歩は朝晩2回することが理想的です。犬は本来、草原を疾走していた動物で、散歩は大好きです。十分満足するだけの散歩をさせることで、室内でのいたずらなども大きく減らすことが出来ます。これから犬を選びたいと思われる場合、こういった運動量を踏まえて犬種を考えることが大切です。

また、散歩のコースについては、毎日決まった安全な所を歩く方が良いでしょう。しかし、若い犬は、まだ社会化(物事に慣れる)が十分でないので、少しずつ変わった場所に連れて行くことも大切です。目新しい場所、交通量や様々な音、どれも少しずつ経験させると良い学習になります。今の散歩道に慣れてきたら、コースを少しずつ変化をさせるようにしましょう。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)