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  3. 第43回 関節の病気について

にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.43

犬や猫の健康管理

関節の病気について

関節の病気と一言でいっても、手足だけでなく首から背中、腰から尾の先までに起こります。

犬種によっては特定の関節が遺伝的に弱かったり、年令や栄養、環境によって関節の病気が発症することも考えられます。共に暮らす家族として犬や猫の関節の病気の知識をもって、日頃から心を配っておくことが大切です。

関節疾患になりやすい犬種は

主に胸腰部の脊椎に起こる椎間板ヘルニアを代表とする病気は、今、人気のダックスフンドが圧倒的に多く、同じように胴の長い犬種に多発します。この病気の多くは、遺伝的素因が関係するので、完全な予防的処置は出来ませんが、多くのケースが胸部の後方から腰部への移行部に発症します。

家庭で出来る予防は、肥満にしないこと、高いジャンプや、立位のトレーニング、階段の上下はさせないことなども気を配ると良いでしょう。この病気の始まりは様々で、劇症の場合は、気がつくと既に腰が落ちて、後肢に力が入らない状態となってしまっています。このようなケースでは、一刻も早く動物病院で診察を受け、強いダメージを受けている神経の手当と安静を必要とします。また、何となく足の運びがおかしいと気付きますが、それも一方の後肢であったり、両方がもつれるような状態であったりと様々です。どちらにしても早期に神経学的診断、レントゲン、神経の造影、安静、治療そしてCTによる確定診断、緊急手術を要することもあります。最近は、良質のコルセットや理学療法、リハビリテーションも活用出来ますから、主治医と十分相談して治療を進めましょう。

中・大型犬にみられる関節疾患

活動的な中・大型犬では、遺伝的な関節の病気も多いのですが、フライングディスクや障害物を飛ぶゲームなども原因となって、肩や肘の関節の障害やアキレス腱の断裂、膝の関節の中にある十字靱帯の断裂なども多発し、多くの場合手術が必要です。また、大型犬、超大型犬には、遺伝的に股関節の形成不全がみられ、成長と共に進行し、完治のための特別な手術を必要としたり、生涯に渡って運動制限が必要となる例も多発します。

小型犬に多発する膝蓋骨脱臼

ポメラニアン、トイプードル、チワワ、パピヨン等を代表とする小型犬の膝の関節を支える膝蓋靱帯の内側(時に外側や両側もみられる)脱臼です。その多くは、遺伝的に膝の上下の骨の角度が悪かったり、靱帯の通る骨の溝が浅いことから起こります。この膝蓋骨の脱臼は、その症状のグレードが進んでいれば、正しい手術を受けることで完治し、老後も元気で過ごすことが出来ます。

さて、猫には幸い関節の病気は少なく、外傷や感染以外では、免疫が介在し、全身の多くの関節を痛める多発性の関節炎があり、腫れや痛みを主訴として全身症状も悪くなることがありますので、理解しておくことが大切です。

動物たちは、言葉でどこかの痛みを伝えることが出来ません。共に暮らす飼い主こそ、いつもと違うと気付くことがとても大切です。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)