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にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.44

犬や猫の安全と危険回避

犬や猫にとって危険な観葉植物

人と共に生活するようになった犬や猫に起こる中毒の原因はとても多くあります。特に限られた室内で出会う様々な物に関心を持ち、触れたり咬んだりすることから起こす中毒は増えています。例えば一定の量であれば、薬として使われる植物でも量が多くなれば、毒になるものも沢山ありますから、人は美しいからと室内に置いている観葉植物にも動物たちにとって危険が一杯のものもあるのです。

一般的な毒の動物の体内への侵入経路

  • 1. 口から入る毒
    犬や猫が囓ったり、舐めたり、食べたり飲んだりすることによって毒を取り込んでしまう。
  • 2. 体表面から吸収される毒
    特殊な臭いに興味を持って体を強く何度もすり付けることによって皮膚に付いた毒が、皮膚から吸収される。
  • 3. 呼吸によって吸引して入る毒
    植物には、この経路で入る毒は少ないのですが、強い揮発性の毒を発生する薬物などでは、大変に危険です。
  • 4. 咬まれることによって入る毒
    毒ヘビや蜂などに咬まれたり、刺されることによって入る毒
  • 5. 腐敗した食物を食べることによる中毒
    様々な食品が腐敗し、毒素を発生し、中毒の原因となります。

植物によって起こる毒の種類

その多くがアルカロイドやシュウ酸、コルヒチン、ウルシオールなどで、主に消化器症状や神経毒となって痙攣や意識障害などを引き起こします。

中毒の原因となる身近な植物と毒を含む部分

ヒガンバナ(全草)、チョウセンアサガオ(全草)、アジサイ(蕾)、シャクナゲ(葉・花)、スズラン(全草)、ソテツ(葉)、ポインセチア(茎・葉)、ポトス(草液)、おもと(茎)、キョウチクトウ(全草)、ウルシ(樹液)等々

植物中毒による主な症状

中毒の原因となる植物との接触の仕方や食べた量、摂取した犬や猫の体力や年齢等々様々な条件によって、発生する症状も大きく変わります。主に消化器症状としては、吐血や下痢、嘔吐や血便、食欲不振などです。神経症状としては、意識の混迷、振戦(ふるえ)、流涎(よだれ)、虚脱、神経麻痺、呼吸困難、不整脈、痙攣等々がみられ死に至ることも多く、思わぬ惨事を起こします。

特に犬や猫は植物由来の漢方薬などにも異常な興味を持って、食べる例もありますので、注意が必要です。量が多ければ、強力な毒にもなります。特にいつ何を取り込んだのか、触れたかを言葉で伝えることの出来ない動物たちの急変に対する緊急治療には、原因が分からないため、手遅れになることさえあります。

中毒を予防するには、散歩では決してリードを放さないこと。飼い主に見えないところで、何を拾って食べたか、何に触れたか分かりません。また、留守中に退屈紛れに観葉植物を食べる、飼い主の常備薬などが机上や棚にあると、興味を持って口にしてしまうなど、室内でも危険が一杯です。犬や猫はその生涯が子どもです。室内は整理整頓し、予防が第一です。正しい知識を持って、大切な命を失うことのないように注意しましょう。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)