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  3. 第45回 猫のウールサッキングについて

にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.45

犬や猫の健康管理

猫のウールサッキングについて

猫独自の行動に「ウールサッキング」と呼ばれるものがあります。これは、「繊維かじり」「ウールかじり」「ウール吸い」ともいわれ、獣医師の間では「不適当な採食習慣」と呼んでいます。主に毛糸や毛織物を吸ったり噛んだりするケースが多いのですが、化学繊維でも肌ざわりがソフトでふわふわしたものや固い繊維にでも同じ行動をすることもあります。

吸いつくだけなら問題はありませんが、食べたり飲みこんだりすると事故につながりますので注意が必要です。

ウールサッキングの原因

若い頃の方が多くみられるウールサッキングですが、原因については残念ながらまだ完全に解明されていません。しかし、シャム猫やシャム猫の血を引いた猫によく見られるため、この行動は遺伝的な原因があるのでは、と言われています。

ただし、私の経験ではシャム猫に限らず、様々な種類の猫にこの行動が見られるため、油断は禁物です。

また、哺乳行動(母猫の乳を吸う行動)の異常が原因という説もあります。なぜならウールサッキングを行う猫は哺乳の時期に母乳を充分に飲めなかった猫の代償行為とも考えられているからです。

ウールサッキングをやめさせるには・・・

この行動をやめさせる最良の方法としては、猫の周りにウールサッキングを行ってしまうような毛糸や毛織物を置かない事です。留守をする時はしっかり生活環境を見直すかケージに入れて事故を防ぐことも大切で、猫の問題行動の予防は常にその行動の出来ない場所を保ってあげることです。

ウールサッキングによる事故を防ぐ

ウールサッキングによって大量に繊維を食べて胃から腸に流れ出ないと、嘔吐を繰り返し。体力を失ったり、内視鏡や胃切開しての摘出も必要です。また、腸の途中に止まって、食欲不振や嘔吐が続き開腹手術も必要となり、手遅れのために、腹膜炎や死に至ることまで起こります。

このように、ウールサッキングはやめさせることが非常に難しいでのす。この行動を生涯続ける猫は少ないのですが、活動的な若い時の方が、目立ちます。どちらにしても猫の目の届くところに対象となる線維類を置かないように、十分気配りをしてウールサッキング行動を忘れさせるように努力しましょう。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)