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  3. 第51回 犬とたのしく散歩するために~季節や健康を考える~

にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.51

犬や猫の健康管理

犬とたのしく散歩するために~季節や健康を考える~

野生のころは草原を疾走していた犬は、散歩が大好きです。

最近は、都市化が進み、集合住宅で住んでいたり、飼い主が多忙のため、十分な散歩が出来ない犬もいます。

多くの犬の問題行動は散歩の不足(運動不足)が欲求不満となって様々なしつけの出来ない原因になっているとも言われています。また、肥満の原因にもなって飼い主にとっても大きな問題です。

犬種や季節によって散歩の仕方を考えましょう

犬は、大型犬、小型犬、そして犬種によって運動量も大きく差があります。運動を沢山させたいと思って、犬を自転車で引いている方もありますが、運動に慣れていない犬や、肥満や心臓病、そして呼吸器の弱い短頭種や初老(7才以上)の犬にとっては危険です。特に夏の気温の高い季節には決してしないで下さい。夏の暑い季節は、日中の散歩はとても危険です。外気が25℃を過ぎていたら直射日光を避けて軽い散歩にします。

犬は全身で汗をかくことが出来ないので、体内の熱の放出は、口を開けてハアハアと呼吸をすることで熱を放散して体温を下げていますから犬は暑さに弱い動物といえます。このような理由から犬は寒さに強い動物です。しかし、南国原産の犬種や短頭種は真冬の散歩では適切な服を着せるのも良いでしょう。

また、飲水とペットシーツを持って出かけ、外での排泄はシーツの上で出来るようにしましょう。散歩は排泄のためという意識は変えて外でもペットシーツの上で上手に出来るように褒めてしつけましょう。犬に排泄をさせたいと思った時、ペットシーツを敷いて「シーシー」とか「ワンツーワンツー」と言葉を決めて促すことで教えます。上手に出来たら心を込めて褒めましょう。このように外出先でもペットシーツの上で排泄が出来れば安心ですし、見る人々にも良い印象を与えることが出来ます。

適切な散歩の時間とは

さて、散歩はどれだけ必要でしょうか。室内で暮らしている犬は、健康であれば朝晩2回は散歩に出して下さい。散歩は運動のためだけでなく、犬にとってはとても大切な社会化(様々なことに慣れる)チャンスです。外に出て人や犬、物や車の音にも出会います。飼い主が落ち着いた態度で恐怖心を持たないように教えましょう。

小型犬でもジャックラッセルやプードルのような行動的な犬種はしっかり歩いて1時間ずつ、シーズーやペキニーズのようなゆったりと運動することを好む犬種(同じ犬種でも差がありますが)はゆったり歩いて30分以上、大型犬はしっかり歩いて1時間半ずつなどおおよその目安で、これも犬種や飼い主の体力、時間の余裕によっても異なってしまいます。

また、運動量は各々の個体の健康状態や年齢でも差があります。小型犬、中型犬は一般に7才を過ぎると初老です。このようなときの目安としては、散歩に出るときは勢いがよくても帰りには疲れがみられるようであれば運動量が負担になっていますから目安にすると良いでしょう。

犬や猫の肥満を診断する方法

このように犬の散歩と関係の深いのは人と同じように肥満です。もちろん運動だけが理由ではありませんが、一般家庭でも出来る肥満の見分け方としてBCS(Body Conditioning Score)について説明します。これは体型を判断する世界共通の基準です。これは真上から犬や猫の体を見て、栄養学的に「正常」「太りすぎ」「痩せすぎ」などの犬や猫の肥満を診断する方法です。飼い主でも簡単に判断することができますので、ぜひ一度チェックしてみてください。

もし「BCS」についてわからない時は、動物病院で教えてもらえます。痩せ過ぎや肥満かな?と思ったら動物病院で健康診断を受けて、他の病気がないことを診断したした上で、食事の改善や運動の量などを無理のない方法で取り入れることが大切です。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)