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にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.52

犬や猫と暮らすということ

犬・猫の個性~犬と猫の違い・犬種猫種の違い~

犬と猫はまったく違う動物です

猫は小型の犬ではありません。身近に暮らしているとどうしても小型犬と同じ感覚で暮らしてしまいがちですが、ネコ科とイヌ科の動物はまったく特性が違います。

犬は猫に比べて大昔から人間に寄り添った形で暮らすことが多い動物ですが、猫はそれに比べると人間と暮らした歴史が短く、およそ6000年ほど前からで、農耕を始めた大切な穀類をネズミの害から防いだり、ヨーロッパでペストの発生した時、ペスト菌を媒介するネズミの害を防ぐなどの目的のために身近におきました。また、ご存知の方も多いと思いますが、犬は群れで暮らす動物であり、猫は単独で暮らす動物です。同じ家で、同じように暮らしていても、人間と犬・猫の関係は異なります。

犬も猫も家族の一員ですが、犬との関係は「親と子」の関係に近くなります。しかし、猫は「人間のために何かをしてあげよう」とは考えない動物で、人間とは同居人」のような関係です。犬は人間(飼い主)のそばにいたいから人間と一緒に家で暮らしていますが、猫は自分の好きなように暮らすのに居心地がいいからそこにいて、勿論最近は外出禁止で飼い主と暮らすという感覚です。以前は外出する猫も多かったので、飼い主以外の家で食事をもらう内に、猫がその家に馴染んでしまった、という話を聞いたことはありませんか。猫は場所を大切にする、言い換えれば地球上の自分の位置を記憶し、大切にする、昔から犬は人につくが猫は家につくと言われる所以ですね。

なぜたくさんの犬種が存在しているのでしょうか?

現在、犬は400種ほどいるといわれています。人間が目的に合わせていろいろな犬種をつくり、犬は人間の願いに応じていろいろな仕事を担ってきました。しかし、猫は犬と異なりさまざまな仕事をすることはなかったので、種類もそれ程多くはありません、およそ50種類ほどでしょう。その50種類も昔からの体型に大きな変化はなく、色や毛の長さ、柄、目の色の違いが殆どです。

また、犬の中でも昔から比較的姿を変えずにいる犬種と、人間が目的のために品種改良した犬種があります。昔からの犬種は顔が長く耳が立っており、オオカミの姿に近く、シェパード、ハスキー、日本犬などに代表されます。シェパードは昔から軍用犬や警察犬として活躍してきましたが、このような犬種は見た目、体の大きさ、訓練特性がその役割に適していたので、人間の手を加えられることが少なく、原始に近い形で今日に至りました。

しかし、人の様々な願いで品種改良された犬種は、ブルドッグやシーズーなどの顔が代表するように、オオカミの面影などどこにも見られない犬が殆どです。中世の貴族たちが抱いたり運びやすいように、マルチーズやトイプードルなど、多くの犬は小型化し、見た目も毛が長かったり、毛が抜けにくいようにして、愛玩犬として暮らしやすいように改良されました。性格的にも穏やかで、人間の言葉を理解する意識が高いのが特徴です。

原始の形をとどめた犬も品種改良された犬も、犬たちは人との長い付き合いの歴史の中で今や伴侶動物の代表として、人の生活に欠かせない大切な家族となっていたり、社会の中でも様々な役割を果たしています。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)