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  3. 第53回 「犬が何を考えているか」を知るには?

にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.53

犬や猫と暮らすということ

「犬が何を考えているか」を知るには?

犬の基本は「どうしたら安全に暮らせるのか?」です

犬は今を生きる動物です。明日のこと、将来のことで思い悩みません。犬の基本は「どうしたら安全に暮らせるのか?」です。

今、共に暮らしている、愛する家族、犬は何を考えているのか?と、気になる飼い主さんも多いと思います。犬の好きなものや嫌いなことは、長年いっしょに暮らしている飼い主さんが一番良く知っているとは思います。しかし、犬という種としての特性も存在しています。

犬の性質は、大型犬、小型犬、そして犬種を固定する時の目的による能力の差、年齢、性等々でも大きく変わります。基本的に「ここは安全かな?」「どうしたら食物を得ることが可能かな?」「自分の頼っている人(大好きな人)はどこにいるのかな?」によって決まります。たとえば、大型犬であれば周囲に対して恐怖感を持つことが少なく、食べるものを探したり周囲のものを観察したり、自分の周りの自然の環境に興味を持ちます。しかし、小型犬の場合は体が小さければ小さいほど、自分の体を守ることを非常に重要視し、周囲の安全に対してとても敏感です。「この場所は安全かな?」「このドアは大丈夫かな?」といつも気にしています。このような理由から、小型犬は周囲に対してとても警戒心が強いのです。

よく吠える小型犬が多いのは、周囲の環境が分からない・知らないために恐怖を感じ、吠えてしまうことがあります。もちろん大型犬も吠えることはありますが、大型犬の場合は自分のテリトリーを守り、敵を排除するために吠えることが多いようです。「犬が吠えている」という状況は同じでも、それぞれの吠えている原因は異なります。マンションで暮らしている飼い主さんが「うちの犬は共有廊下を歩く人がいると、足音に反応して吠えてしまいます」と話すことがありますが、そういったケースの場合ほとんどが小型犬です。

年齢によっても行動が変わります

年齢によっても行動が変わることがあります。若い犬は周囲に興味がありますが、歳を取ると人間が相手をしない限りずっと寝ています。長ければ20時間くらい寝ることもあります。飼い主さんからみれば「こんなに長く寝て大丈夫なのかな?」「夜眠れなくならないのかな?」と疑問に感じますが、実は長く寝ていてもとても眠りが浅いことが多く、老犬が長く睡眠を取っていても無理に起こさずに、そのまま寝かせておいてあげましょう。もちろん遊んであげたり軽いトレーニングをしたりすることは大切ですので、犬が起きてきたら相手をしてあげましょう。

生後6ヶ月までに犬のしつけを

また、社会化(周囲の全ての物事に慣れること)されている犬とそうでない犬でも性格が異なります。社会化されていない犬は異常な警戒心や恐怖心を持ち、問題行動を起こし易くなります。

犬の社会化には臨界期があり、生後2ヶ月~6ヶ月といわれています。犬の生後6ヶ月は人間の10歳前後になり、この期間が犬の一生に大きく影響します。生後2ヶ月までは母犬や兄弟犬とのふれあいの中で犬同士の付き合い方を自然に学びます。日本以外の先進国では、生後2ヶ月未満の犬の販売を禁止しているところも多く、それ程母犬の元で「犬同士」で学びあうことは大切です。そして、生後2ヶ月以後、新しい家族として迎えられたら、その日から基本的なしつけを始め、して良いこと悪いことから教えましょう。

犬は、いっしょに暮らしている人間の動きをとてもよく見ています。散歩に行こうと飼い主が立ち上がると、犬が先回りして玄関で待っている、などという場面もよくみかけます。飼い主さんは見られている自覚を持ちながら、温かい言葉と態度で人間大好きな家族に育てましょう。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)