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  3. 第57回 家族構成の変化とペット

にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.57

犬や猫と暮らすということ

家族構成の変化とペット

ペットの長寿化にともない、飼い主が結婚・出産、ときには死亡するケースがあります。

ペットを取り巻く家族が増えた場合、減った場合に、どういう影響があるか。また、その対応について紹介します。

結婚などで家族が減るとき、増えるときの対処法

結婚などで家族が増えたり減ったりした時の家族としての動物たちへの影響について考えてみましょう。犬と猫では対応法が少々異なります。

犬の場合、その犬が一番なついている人が結婚等で家を出るときは、一緒に連れて行くのも望ましいことです。犬は人になつく動物なので、大好きな人がいなくなることで寂しさがストレスになり、異常な行動をとったり、体調を崩すことさえあります。

一方、猫の場合は、多くの場合置いていくほうが良い場合が多いものです。猫は全てではありませんが、犬とは違って家につく動物と言われるように、今、生活している場所を大切にしています。大事にしてくれた人がいなくなった寂しさは感じますが、他に世話をする人がいて環境が整っていれば置いておく方が良いでしょう。

またお嫁さんやお婿さんが増える場合、初めからフレンドリーで近寄って喜ぶ犬も沢山いますが、警戒心の強い怖がりの犬もいます。はじめに家族がその人をフレンドリーに迎える様子を見せましょう。そしてペットと仲良くなるためには、その人が来宅の度に犬の好物をあげるようにしましょう。

無理に触ろうとしたり声を掛けたりしないで、最初はまず、犬の大好きな食べ物を顔を見ないで、さりげなく遠くから投げてあげます。初めは食べない犬もいますが、来るたびにそれを繰り返します。すると、「この人は良いものをいつも持ってくる人で悪い人ではない」と理解するようになります。その後は、優しい声を掛けながら投げ、次第に近いところから投げるようにします。最終的には手からものを食べるようになるところまで努力をしてみましょう。これが無理のない理解を得る方法です。

赤ちゃんが増えたときの対処法

次に赤ちゃん誕生の場合を考えましょう。

以前は妊娠すると「犬は出しなさい」「猫は伝染病があるから出しなさい」という産婦人科医の指導も多かったようですが、最近では愛している動物を取り上げられることの方が妊婦さんに大きなストレスになることが分かってきましたし、0才から犬や猫と暮らすことの心や体への効果が認められ、かえって推奨されています。但し、犬も子ども好きばかりではありませんし、興味を持って思いがけない行動をする犬もいます。また、愛情を一身に受けていると思っている犬や猫にとっては、ライバルでもあるのです。赤ちゃんに対して犬や猫が威嚇したり、事故を起こしたりしないかと心配するのも当然です。きちんとした知識をもって対処しましょう。

まず大事なことは、赤ちゃんを連れて帰ったときに、家の人が赤ちゃんを隠さないことです。知らない臭いがしたり、赤ちゃんの声が聞こえるのに見せてもらえないと、犬や猫がとても不安で不審に思います。まずは赤ちゃんを連れて帰る前に、赤ちゃんの臭いのついたモノを犬や猫の匂えるところに置いておき、「もうすぐベビーが来るよ」と話します。そして家に帰ってきたときは、そのペットが一番信頼している人が赤ちゃんを抱いて入り「これはうちの大事な赤ちゃんだから、面倒見てあげてね」と語りかけてあげましょう。猫は逃げ隠れてしまうか興味を持って赤ちゃんのベッドに飛び込んでしまうなど、注意が必要です。どちらにしても犬にも猫にも新しい赤ちゃんを隠さないで一緒に大切にしてくれるよう話しましょう。

そしてもう一つ大事なことは、赤ちゃんがいる部屋に犬や猫が入ってきたときは、赤ちゃんではなく犬や猫に話しかけてハッピーにしてあげることです。例えばご褒美をあげることで「赤ちゃんがいるとき、自分たちは可愛がられていてハッピーだな」と感じると、赤ちゃんは悪者ではなくて自分たちにとって良いものと理解するようになります。そういう環境を作ってあげることが大切なのです。

ペットと赤ちゃんの暮らしのルール

ペットと赤ちゃんが共に暮らすには、やはりルールが必要です。どんなに優しい犬でも静かな猫でも大人のいない部屋に両者を置くことは禁じられています。親がいないときは赤ちゃんと猫を同じ部屋に入れないよう配慮しましょう。いくら信頼している犬や猫でも、子どもが5歳以上になるまでは、絶対に動物と子どもだけにしないということは世界の鉄則です。

ルールを決めて暮らすことで、赤ちゃんとペットが同等の身近な仲間という意識になり、まさに兄弟のように育ちます。ペットは、子供にとって素晴らしい役割を担ってくれるでしょう。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)