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  3. 第64回 家庭でできる応急処置(3)「出血や止血・発作への対応」

にゃるほど犬猫塾

犬や猫たちの暮らしやしつけ、健康などについてご紹介します。

no.64

犬や猫の安全と危険回避

家庭でできる応急処置(3)「出血や止血・発作への対応」

出血と止血

ご家庭で愛犬や愛猫の爪切りをして、うっかり深爪してしまった経験のある方も多いと思います。爪の中には血管や神経が通っていますが、その部分まで切ってしまうと強い痛みと出血をさせてしまうことがあります。

思っていた以上の出血量で驚いてしまうことがありますが、多くの場合清潔な綿判やティッシュで10分程度圧迫することで止まります。止まり難い場合は傷より心臓に近い位置を圧迫したり、傷を心臓より高く保つことも役に立ちます。しかし、10分以上圧迫しても止まらない場合は圧迫したまま動物病院へ連絡し、診察を受けて下さい。

動物たちは、一度痛い思いをすると、次から爪を切らせないことにもなりますから、嫌な経験をさせないように、最初は優しく褒めて、前肢、後肢に触ることから始めて、少し慣れたら大好きなご褒美をあげながら1~2本ずつ少しだけ切ることから始めましょう。

また、犬はお散歩の時などにどこかにひっかけたり、猫はカーテンやカーペットにひっかけて、爪が割れたり、根本から折れてしまうこともあります。このような場合も、出血は圧迫して止め、動物病院に連絡して診察を受けて下さい。動物は何故痛いのか分からないので、傷に直接触れようとすると家族であっても咬んだり、引っ掻かれたりしますので、注意して下さい。動物病院では、消毒や鎮痛処置をして、傷の感染防止のために抗生剤などが処方されますが、時には、その後の生活の質を下げないために麻酔をかけて爪を取る手術などが必要な場合もあります。動物病院では、動物が痛みで苦痛を感じないために、しっかりと鎮痛管理をしてもらえます。

発作

犬や猫も脳や心臓に原因があったり、中毒など様々な原因から発作を起こすことがあります。発作の程度も顔面や体表面の皮膚がピクピク動く程度のケースから、突然倒れて強直したり、前後肢を前後して動かして強い痙攣と共に排尿や排便をしてしまう強度の痙攣発作もあります。

初めて強い発作を見る飼い主さんは、慌ててしまうことと思いますが、強い発作を起こしている犬や猫は多くの場合意識がないので、落ち着いて次のことに気を配って下さい。

  • 1. 舌を噛むのではないかと、口の中に手を入れないで下さい。意識のないまま咬んでしまい、放さなくなるのでとても危険です。
  • 2. 発作で体をぶつけないようにタオルやクッションなどを周囲に置いてガードし、部屋のあかりを少し暗くして刺激を減らします。
  • 3. 動物病院に連絡を入れ、獣医師のアドバイスを良く聞いて安全に動物病院へ向かいます。動物病院へ到着するまでに発作が治まっていることもありますので、発作が起きてから治まるまでの時間を計ったり、可能であれば動画を撮っておくと良いでしょう。

発作は長く続いたり、連続して起こると大変に危険です。検査を受けて原因に合わせた治療や日常生活に気を配って下さい。

profile

柴内裕子先生(獣医師)

赤坂動物病院 名誉院長

日頃より伴侶動物医療に携る一方で、社会活動コンパニオンアニマルパートナーシッププログラム(CAPP)のリーダーとして高齢者や障害者の各種施設や病院、小学校などを動物たちと共に訪問するボランティア活動に幅広く活躍されています。(柴内先生には、東リ「犬家猫館」の製品開発の際にもさまざまなアドバイスをいただいております)