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  3. 第4回 住まいの中での“遊び”スペース

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.4

犬や猫と共に暮らすためのアイデア

住まいの中での“遊び”スペース

今回は、家の中での犬や猫たちの“遊び”スペースについて、“遊び”の内容をご紹介しながらお話しします。室内で飼育している方は、ぜひ参考にしてください。

犬編

1.室内の運動スペースは必要?

犬を室内飼育する場合、飼い主さんは、「室内に運動できるスペースが必要なのでは?」と考えることが多いようです。
第3回でお話しましたように、「ハウス」はただ眠るだけではなく、安心して居られる場所。犬たちにとっても、室内自体が大きな意味での「巣穴」です。巣穴はくつろぐ場所なので、走り回るような運動スペースは必要はありません。少し遊べるだけのスペースがあれば大丈夫です。

2.犬の遊びには、”頭脳プレー”を

室内での犬の遊びには、“頭脳プレー”がおすすめです。頭をいっぱい使うと気持ちのよい疲労感でゆっくり休むことができるのは、人も犬も同じ。
コングなどのように、自分で上手に動かしたり工夫をすると中からおやつが出てくるものや、音がするものなどが「頭を使う玩具」です。これならサークルの中で一人でも遊べます。飼い主さんが一緒に遊ぶ場合は、もう少し余裕のある広さが欲しいですね。具体的には「飼い主さんが床に脚を投げ出して座ったぐらい」+「犬が体を伸ばし、飼い主さんの周りを一周できる」くらいの広さを目安にしてください。小型犬なら2~3畳程度でしょうか。大型犬の多くは興奮するとよだれが飛ぶことがありますので、拭きやすい素材を使用するなど、ハウス周りと同じように、スペースの周りにも気を配りましょう。

猫編

猫は”上下運動”を活かした遊びを

猫を完全室内飼育する場合は、十分な運動スペースが必要です。特に避妊去勢している子は運動不足による肥満が心配。家の中で楽しく遊べて運動ができる工夫が重要です。猫は犬と違って三次元で空間を活用する動物なので、家具の配置を変えて部屋の中に上下差を作るなど、平面だけでなく立体的に工夫すれば狭い室内でも充分楽しめます。
猫は上下運動を好むために、もともと樹上生活をしていた動物だと誤解されることもあるようですが、実は草原の動物で、木登りは不得意。垂直に上ることは出来ますが、降りるのは苦手です。一直線に走れる、平面に長いスペースをつくることも必要です。
あまり高い場所への誘導は落下事故の危険性があり、掃除もしにくくなるので控えましょう。また、猫にとって危険が少なく安心出来る家だと、高い場所には行かなくなる傾向があります。外を眺める場所への通路は、垂直でなく階段状にしてあげると歳をとっても上りやすく、運動不足の解消になります。

番外編

カビ対策 鍋の季節!冬場の湿気対策は万全ですか?

寒い冬は湿度を高めにすると暖房効率が上がるので、夕食にお鍋をする家庭も増えてきますね。湿度が高く暖かい空間はカビにも快適です。湿度70%程度で抑え、特にカーテンだまりや家具裏は、湿気がこもらないように注意してください。
カーテン裏のカビを防ぐには、朝一番に窓を開けて空気を入れ替える時に、すぐにカーテンを畳んでしまうのではなく、少し風を当ててあげるといいでしょう。また天井や壁の高い場所に、調湿効果のある珪藻土入りのクロスを使用すると、湿度の上がりすぎや乾燥を防ぐ手助けをしてくれます。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

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  • 「ねこと暮らす家づくり」

    猫の「あったらいいニャ~」に応えるための、賃貸やマンションでもチャレンジできる工夫を案内しています。

    ワニブックス刊 定価(本体 1,300円+税)