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  3. 第9回 夏場の健康的な室内環境づくり

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.9

犬や猫と共に暮らすためのアイデア

夏場の健康的な室内環境づくり

クーラーをかけることが多くなり、窓がずっと閉めっぱなし…ということはありませんか? 犬や猫たちにとって、風通しの悪い室内は健康悪化のもと。換気を頻繁に行って快適な室内環境を整えることは大切です。今回は、室内の空気の循環を良くするポイントをご紹介します。

1.晴れた日には、積極的に窓を開けましょう

室内に新鮮な空気を取り入れ循環させることは、夏場はもちろん、年間を通しても重要です。住宅内の空気が停滞すると、室内の特定部分に高い温度が生じたり、また湿気を溜めてしまいます。そういった場所は結露しやすく、ホコリも着きやすい。高温・多湿を好むダニやカビも繁殖しやすくなってしまいます。健康的な室内環境の維持は、一緒に暮らす犬や猫たちにとってとても大切です。住宅内の温度と湿度を上手に調節し、ホコリやダニ・カビを留まらせないための工夫をしましょう。
最近では24時間機械式換気など、自動で空気の循環ができる便利なものがあります。そういったものを使用するのも良いですが、やはり窓を開けて空気を取り入れる方法が、メンタル面の刺激といった点でも効果が大きいもの。外気の気持ちの良い日には、積極的に窓を開けてください。

2.網戸を上手に活用して風通し良く

飼い主さんたちの中には、「虫が入るので、犬や猫がいると窓を開けにくい」という方もいらっしゃいます。確かに、特に犬は、フィラリアを媒介する蚊に刺されてしまうという心配があります。その場合、網戸の活用を。窓の外側に設置するなど、開口部への虫除けのための工夫は必須項目です。
網戸を選ぶ際は、目の細かいものを選びましょう。目の細かさは「メッシュ」で表されますが、数字が大きくなるほど目が細かくなります。「メッシュ18」が一般的ですが、「メッシュ20」以上にするとより安心。中には花粉まで侵入しにくいフィルター状の網もありますが、通風率が70%前後となり、風の強い時には風圧を受けてはらんだり煽られることもあります。その場合、普通の網戸と併用し、取り外しができると、なお安全です。

3.窓周りにおしゃれな工夫を!

窓を開けない理由に多いのはもう一つあります。掃き出し窓のため、「猫が網戸を上って破いてしまう」「犬には網戸がわからなくて突っ込んで破いてしまう」というもの。
その場合、床に接した窓を開けるのではなく、腰窓などなら破壊させる心配は少なくなります。しかし中には掃き出し窓しかないという住宅も多いので、そこでひと工夫したいのが窓周りのアイテム。以前、出入りの制限をするための「ペットゲート」を紹介しましたが、これの窓版を作ってみます。和室にある障子のようなものを、掃き出し窓に設置します。障子を格子戸に入れ替えたと言えばいいでしょうか。シックな墨色のものにしますと、洋室に和のニュアンスを持たせることができ、おしゃれなインテリアのひとつにもなるのでおすすめです。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

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