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  3. 第10回 勘違いしやすい冬場の室内環境づくりのポイント~『擬人化』の落とし穴~

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.10

犬や猫と共に暮らすためのアイデア

勘違いしやすい冬場の室内環境づくりのポイント
~『擬人化』の落とし穴~

室内で犬や猫たちを飼う家庭が増え、彼らはすっかり家族の一員。しかしそういった「擬人化」は、時としてトラブルの原因になることがあります。例えば、人の食べ物を与えて栄養のバランスを悪くしてしまったり、家具を傷つけたりする事を「いたずら」や「あてつけ」と勘違いして怒ってしまったり…。住まい方においても、困った勘違いをして彼らに悪影響を及ぼしてしまうこともあります。今回は室内の空気環境における困った「擬人化」の例、またその対策に焦点を当ててみました。

1.防寒対策に要注意!

寒くなると、犬や猫たちの防寒対策を気にする方が多いのですが、人と同じだと思ってしまうと逆に体に負担を掛けてしまうことがあります。
犬は一部の種類を除いて寒さには比較的強いもの。そして、多くの犬や猫たちはこの季節に「夏毛」から耐寒のためにフサフサの「冬毛」に変わっていきます。人間がそろそろ暖房を付けようと思った時期にはもう「冬毛」になっているのですから、人間が「薄着で暖かい」と感じる室温では、彼らには暑過ぎることになります。
また寒いからと室内温度を過度に上げてしまい、外気温と差が出すぎてしまうのも健康悪化の一要因。散歩の外出時などに、その急激な温度変化で体にダメージを与えてしまいます。子犬や子猫、年をとった犬や猫たちは、特に温度変化に弱いので注意してあげたいものです。

2.快適な空気環境づくりのポイント

室内温度

室温を20℃程度に押さえ、あまり温度を上げないようにしましょう。そのためには「人が寒い」と感じない工夫も重要。人は足の裏から体温が奪われることで寒さを余計に感じますから、床に足触りが温かいものを選んで敷くようにしてください。空気の温度に依存することなく、余分に暖房しなくてすむようになります。カーペットやラグなども臨機応変に活用するとよいでしょう。

室内湿度

湿度は30%以下にならないようにし、60%を目安にしましょう。加湿器などを利用する前に、壁や天井に湿度を調整してくれる「調湿建材」が使われていると効率が良くなります。

吸放湿性のある「アースウォール」を使用した壁。
暖房器具を活用する際は・・・

輻射熱の暖房器具は埃を巻き上げないので空気環境としては理想的ですが、床暖房などの使用には注意が必要です。一日中そこに張付いているようだと、体が熱くなってしまいよくありません。寝場所では使わないなどの配慮が必要です。また電気カーペットは床暖房と似ていますが、触れていないと温かくないために、熱中症になる恐れが高くなりますので十分に気をつけてください。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

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    猫の「あったらいいニャ~」に応えるための、賃貸やマンションでもチャレンジできる工夫を案内しています。

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