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  3. 第15回 猫を室内で安全に遊ばせるために

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.15

犬や猫の安全

猫を室内で安全に遊ばせるために

「完全室内飼育」は、単独生活者でしかもテリトリー内で待ち伏せ型の狩りをしてきた猫には、意外と受け入れやすい生活です。しかし、交通事故や伝染病から猫を守る事になるという利点がある反面、室内だけで運動も済ませなくてはならない、刺激がない生活だとストレスになるという問題もあるので、ひと工夫が必要です。

猫は木登りが上手い!という誤解

「住まいの中の遊び」というテーマで、以前にも取り上げた事がありますが、猫の「住環境の質」についてもう少し考えてみましょう。
猫は、立体的に空間を楽しみ、室内でも見晴らしのいい場所に上がり、のんびり家族や部屋の中、そして外を眺めるのが大好きです。ただ、勘違いしてはいけないのが、木登りが上手いわけではありません。前足の構造からよじ登るのは得意ですが、垂直に降りる事は苦手なのです。よじ登り遊びをしても、安全に降りられるスロープや段上の道を用意してあげましょう。
 また、安全と衛生上のために、キャットウオーク(猫用のアスレチック通路)の高さは人の掃除の手が届く所に押えておくのもポイントです。

キャットタワーの高さにも配慮して

室内での猫の事故では、2階の手摺や1階の梁を利用したキャットウオークからの「転落」が多く見られるようです。市販のキャットタワーなどは、適度な高さで良いのですが、固定が不十分でグラついていると、危険ですし気持ち悪がって乗らなくなります。
猫用の階段やアスレチックを、全て作り付けにしてしまうのではなく、移動できる家具や市販のロータイプのキャットタワーを取り入れる事をお薦めします。室内の見え方がほんの少し変化する事は、生活に新鮮さを呼び込めます。

猫用の階段や棚のデザインにも工夫を!

そして、猫用の階段状の棚を作っても、始めは興味を持たずに使わなかったりすることも多いものです。階段の先が、庭や他の部屋への覗き窓、室内でのちょっとした待ち伏せポイントになっていると、興味を持ってもらいやすくなりますよ。
また、はじめは使わなかった猫用の棚も、かなり時間がたってから急に興味を持って使い始める事があります。飾り棚に転用してあったりすると、飾った物を落とされることに。ですから、猫が使っても使わなくてもインテリアとして成り立つように、猫用の階段や棚のデザインも工夫する事をお薦めします。
私のデザインでは、棚を箱状にして中は飾り用、上は猫の階段と2通りに使えるようにしています。

待伏せポイント
よじ登り柱と階段+覗き窓
飾棚兼用猫階棚

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

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