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わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.18

犬や猫の安全

扉の安全の工夫~その2~

犬が落ち着いて気持ちよく暮らすためには、人が日常からリーダーシップをとってくれていて、自分を守ってくれていると犬が感じる事が必要です。そうでないと、犬にとって世の中は判らないものだらけで、犬が自分で色々判断しなくてはならず、始終緊張していなくてはいけません。辛そうですね。

誰がリーダーシップを取るかが重要です

犬は、誰がリーダーシップを取っているのかは、日常の人が起こす小さな行動の繰り返しを見て理解します。トレーニングでは、散歩での歩き方や食事のタイミングなど、犬に勘違いをさせない方法が色々ありますね。同じように、住まい方の中で考慮できる事があります。それは、まずは「出入りの優先権」を、犬ではなく人が持っている事を示す事です。こうすると、リーダシープをどちらがとっているのか犬にも理解しやすくなるのです。家族がその場所や犬の責任を取ってくれているのだと感じられると、犬は安心して寛ぐことができるようになり、見知らぬ物や不信な物があっても騒ぐ事が減ります。

出入りの優先権を持ちましょう

「出入りの優先権を持つ」方法とは、部屋の外への扉を通る時には、まずは人が先に出入りし、人の許しがあって犬もその扉を通れると感じさせる事です。前回おさらいした「居場所を制限する」という事をしっかり守っていると、より犬にはわかりやすくなるでしょう。しかし、自由に歩きまわれる部屋数が多かったり、扉を出入りするたびに毎回意識していたのでは、少し大変そうですね。

扉にも工夫を!

そこで、開き勝手を工夫すると、より自然に犬が前に出に行く事を防ぐ事ができそうです。内開き(手前に扉が開く)にするか、外開き(押して扉を開ける)にするかですが、比較的内開きの方が、扉を開けたときに先に犬が出て行ってしまう事が減るようです。
居場所を制限しようとしても、扉を勝手に自分で開けてしまう子もいます。外開きでレバーハンドルの取手だと、体重をハンドルと扉に掛けることで犬や猫にも扉が開けられてしまいます。さらに、大型犬で頭のいい子だと、内開きでもレバーハンドルなら開けてしまいます。

そういった場合は、取手が丸いものやハンドル部分が短いものにしておくと安心です。また、「プッシュプル」という内側に開ける時には、引っ張る取手でも犬や猫には難しくなります。
扉は人に使いやすい事も重要ですね。特に家から外へ出る扉ですが、左でリードを持っている(左にツケを教えている)場合、扉の吊り元は右側にすると、使い勝手がよくなります。

丸い取手
プッシュプル
左でリードを持っている
(左にツケを教えている)場合

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

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