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  3. 第19回 扉の安全の工夫~その3~

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.19

犬や猫の安全

扉の安全の工夫~その3~

内開きの扉に注意!

家の中のルールを犬や猫に判りやすくし、悪戯や事故を防ぐ事ができる扉。しかし、その扉自体が危険になる場合があります。 犬や猫が開けにくい内開きの扉の場合で注意しなくてはいけないことは、開く側に犬や猫が扉に張り付くようにして、飼い主さんが扉を開けるのを待っていることです。 「扉を開けたときに、扉近くでウロウロ待っていた犬や猫にぶつかってしまった」と言う事故が起こりやすい状態です。

特に小型犬などでは、重篤な怪我になる場合があるので注意が必要です。例えば、チワワはアップルヘッドと呼ばれる可愛らしい丸い頭が特徴ですが、この特徴ゆえに衝撃に弱いのです。その他、人気のフレンチブルドックも、特に頭部への衝撃に注意したい犬種です。

足先を挟んでしまう事故も・・・

さらに、「そこに居ることに気が付かず、扉を開けたら扉の下の隙間に犬や猫が足先を挟んでしまった!」という足先を挟む事故も増えています。
換気のためにアンダーカットと呼ばれる1cmほどの隙間が、扉と床の間にある場合があります。特にマンションでは多く見られ、近年の法改正で一戸建て住宅でも多く作られるようになりました。ここに小型犬や猫なら指を、大型犬は爪を挟んでしまいやすい様です。危険な隙間なら塞いでしまえばいいように思いますが、その隙間を住宅全体の換気ルートとして計画していた場合、家自体の健康維持のために塞ぐ事はできません。

扉の前にいる犬や猫を察知するには!

では、人が扉を開けるときに犬や猫達に扉のすぐ前で待たせなければ良いのです。しかし、その場合は犬や猫が扉の側にやってこないよう、サークルなどの工夫が必要になってきます。しかし、大型犬や猫では部屋自体がサークルのような扱いになっている事が多いものです。人がいくらコッソリ扉に近寄っても、犬や猫は、人より数段耳も感覚も鋭いのですから、すぐに扉の前で待機されてしまいます。
一つの対策としては、扉を押して開ける場合は急に全開せず、ほんの少し開いた段階で一度止まる方法があります。そうすると、安全な方に犬や猫が移動してきますので事故が起きにくくなるのです。

しかし、扉を開けるたびに犬達の気配を意識しなければ、と気負うのも疲れますね。ですから、扉自体に床近くまでの窓などを設ける工夫をお薦めします。扉の間近で犬や猫が待っていても、この窓でその気配を人が察知しやすくなります。これだけの小さな工夫ですが、人か無造作に扉を開けるような事が自然と減り、より事故が置きにくい環境となるのです。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

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