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  3. 第25回 寝室を共にする時の配慮

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.25

犬や猫のしつけ

寝室を共にする時の配慮

犬や猫と寝室を一緒にしている方は多いかもしれません。しかし、室内の衛生面やシツケの面からは、寝室は別にする方が良いと考えられます。それはどういった点なのか見直してみて、工夫出来ないか考えてみましょう。

寝室はカビやダニを繁殖しやすい

まず、室内の衛生面ですが、寝室には快適湿度が他の部屋より少し高めであるのと、常に温度・湿度共に変動がすくない場所という特徴があります。ファブリックなど布製品も多いためにカビやダニを繁殖しやすい環境でもあります。ですから、犬や猫が出入りすることが日常多いと、抜け毛やフケなどのダニ・カビの栄養源になるタンパク質を増やしてしまう恐れがあります。
特に、猫は体を舐めてグルーミングをするという性質があります。そのために体の表面についた唾液が乾燥して細かいチリとなり、寝場所などに沢山たまることとなります。このチリはアレルゲン(アレルギーの原因)です。アレルゲンを吸引することが多い人は猫アレルギーになりやすくなるもので注意が必要です。

寝室は犬にとって究極のテリトリー

そして、犬ではシツケに関わる問題があります。寝室は犬にとって究極のテリトリーであるためです。特に、ベッド(寝床)を一緒にすると問題が大きくなる可能性があります。人と犬とが寝場所を同じくしてしまうと、その究極のテリトリーから飼い主を追い出そうとして攻撃的になることがあります。また、逆に飼い主への依存性が高くなるという事があるようです。依存性が高くなると、不安感の強い性格になりやすくなってしまいます。どちらの場合でも、シツケはやり辛くなってしまう恐れがあるのです。

犬と寝室を共にする場合は室内環境の衛生面に注意

しかし、猫に添い寝されたり朝起こされる喜びは捨てがたいものがあります。犬では、仔犬の時や介護が必要になった時、寝室に犬の寝場所を設けたいという事があるでしょう。その場合には、室内環境の衛生面を維持するために、掃除を頻繁にするようにし、通風換気などにより気を配らなくてはいけません。犬のシツケ面では、犬が人のベッドの上に乗ることができても、人が寝る時には「どいて」「おりて」がちゃんとできるように教えておけばよいでしょう。
また、寝室内での犬のベッドとなるハウスの置き場所ですが、就寝時に犬が注意を引こうと声や物音を立てた瞬間、人が反射的に振り向いても視線が交わらない位置に配置するとより良いでしょう。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

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