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わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.27

犬や猫と共に暮らすためのアイデア

犬の居場所と風の道

犬の家の中での居場所の注意として、窓の付近は避けましょうとお話して来ました。窓は外の音の侵入口であり、一日の中での寒暖の差の激しい場所でもあるからです。しかし、窓はむやみに避けるだけでなく、通風・換気のために上手に活用したいアイテムでもあります。

住まいは夏向きを中心に考える

通風・換気はカビなどの繁殖を抑え、臭いの定着も防ぐので、特に動物と室内で暮らすためには重要です。換気は機械式換気システムでも可能ですが、通風としては不完全。通風は特に暑い季節の室内環境にとっては重要です。
古来より「住まいは夏向きを中心に考えるのがよい」と言われます。寒さは暖房などでどうにかやり過ごせても、暑さはそう簡単に耐えられるものではないからです。特に犬は比較的暑さに弱い生き物ですから、「暖かさ」より「涼しさ」に配慮する必要があります。

家の中の「風の道」をしっかり考えましょう

空気を冷やす事ばかりが涼を感じる方法ではありません。体に風を感じることでも涼しさを感じることができます。そのためには、基本は窓から自然な風を室内に呼び寄せること。機械的冷房だけに頼ると冷やしすぎなどの問題がおきやすいですが、室内に自然な風が流れるように計画がされていれば、空気を冷やしすぎず健康的に涼みを取ることができます。家の中の「風の道」をしっかり考えましょう。
空気は冷たいと低い位置にあり、温まると上っていくという性質があります。この性質を利用し、低い位置の窓から涼しい空気を取り入れ、室内で温まった空気は高い位置の窓から排気できるようにと窓が配置されていると、自然と室内に心地よい風の流れがおきます。犬の休む場所にも涼しい空気が流れるようにしてあれば、暑くなる季節でも快適に過ごさせてあげられます。

窓の外の庭周りの環境にも配慮が必要

さらに、効果的に涼気を取り入れるには、窓の外の庭周りの環境にも配慮が必要です。窓先の地面は土や芝にしておくなど温度が上がらないようにし、また周辺に木陰を作っておく事が効果的です。ただし、植栽にも風通しを良くしておきましょう。庭で通気が悪くカビた空気を作ってしまっては、健康な空気を引き入れた事にならないからです。
また、先に挙げてますように、道路などの騒音が入りやすい位置の窓は犬の居場所には向きません。そして、窓を閉めた時には、しっかり冷気の遮断ができるようにカーテンなどの工夫もしておきましょう。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

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