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  3. 第28回 猫を室内でも退屈させない

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.28

犬や猫のストレス回避

猫を室内でも退屈させない

猫を室内で安全に遊ばせるために」でも取り上げましたように、猫にとって住環境の質」は大変重要です。特に完全室内飼育の子では、室内だけで運動も済ませなくてはいけません。そこで、「キャットウォーク」や「キャットタワー」など、上下運動ができて空間を立体的に楽しむ猫用のアスレチックを作ってあげたいものです。

猫の習性に合った住環境づくり

猫は自分のテリトリー内に入ってくる獲物を待つ「待ち伏せ型」の狩をしてきた動物です。自然の中で、木の上などは大きな捕食動物から身を隠せる安全な場所です。そして、下を通る獲物を待ち伏せするのにも丁度良い隠れ場所でした。キャットアスレチックは、こういった環境を模して場所を作りこんであげると喜ばれます。
しかし、「室内で見晴らしのいい場所に上がる」という事が、逆に刺激を減らしてしまい、「退屈」というストレスになってしまうという場合があります。これは、ワンルームに生活空間が制限されている場合などに多く起こります。

猫にとっての住環境の質を高めるためには

基本的に、猫の生活空間は2部屋以上(頭数+1)が必要です。ワンルームでの生活でも立体的に空間を活用させる事で住環境の質を補ってあげられますが、一つ注意が必要です。生活空間が一目で見渡せてしまう状態だと、猫には退屈になってしまうのです。
住環境の質を高めるためには、猫が「立体的に暮らせる」といった事だけでなく「空間を増やす」といった視点で工夫をしてあげましょう。
室内の「猫にとっての空間」を増やす方法は、見晴らしの良い高い場所に上っても、そこから一旦降りたり回り込まないと見えない、というスペースを作ってあげる事。猫の視線を遮るように、棚やソファーなどの家具の位置を配置するだけでも、猫にとっては空間が増えるわけです。

猫にとっての魅力的な家具とは

プチ模様替えができるように、移動できる家具や市販のロータイプのキャットタワーを取り入れる事もお勧めしてきました。大規模な模様替えはストレスになりますが、室内の見え方をほんの少し変化させる事は、猫の生活に新鮮さを与えてくれることになります。
猫にとっての魅力的な家具は、キャットアスレチックなどの背の高いものばかりではありません。林の木々の間を通るような狭い路地空間も大好きです。段ボール箱を重ねて作る簡易のアスレチックもお薦めです。段ボールは爪とぎにも好まれる素材ですし、古くなったら作りなおし、簡単な部屋の模様替えにもなるからです。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

  • 「犬・猫の気持ちで住まいの工夫」増補改訂版

    単なるペットのトラブル対策に終わらないしつけやトレーニングも踏まえながらのアドバイスが満載。かわいいイラストも◎。改訂版では、室内環境の意識が高まっている猫の情報と、東日本大震災で課題がみえたペット防災対策が増えました。

    彰国社刊 定価(本体 1,800円+税)

  • 「ねこと暮らす家づくり」

    猫の「あったらいいニャ~」に応えるための、賃貸やマンションでもチャレンジできる工夫を案内しています。

    ワニブックス刊 定価(本体 1,300円+税)