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  3. 第31回 カーペットの活用と選び方

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.31

犬や猫と快適に暮らすためのインテリア

カーペットの活用と選び方

リビングなどの床がフローリングになっている家庭も多いでしょう。犬や猫が家族にいる家庭では、フローリングのようなクッション性のない固い床材を使っているならば、カーペット類をインテリアとして併用することをお勧めします。

ペットの運動と足腰への負担

犬では、お家の中でちょっとした遊びをしながらトレーニングをするという、「プレイスペース」をハウスの前に設けてあげる事を「室内で犬と遊びながらトレーニング」でご紹介しました。そのプレイスペースでは、「引っ張りっこ」やジャンプなどをしますが、これは小さい動きであっても「脚を踏んばる」「床を蹴る」といった運動です。また、猫の場合でも、キャットアスレチック周辺や飛び降りるのにお気に入りの場所などは、床に防滑性と緩衝性が求められます。

犬猫の足と歩行のしくみ

犬や猫は、普段は足のパッド(5つの小さな肉球と、中央にある掌球)で踏みしめて歩いているので、表面が硬質で平滑な床であっても、ある程度滑らずに歩く事はできます。しかし、早く動こうと脚に力を入れるような時にはそうはいかないのです。爪が硬い床にはじかれてしっかり蹴りこむ事ができませんから、滑りやすくなってしまいがちです。また、パッド周りの伸びた毛の手入れを怠ると、普段の歩行時からも滑るようになってしまいます。
床でしっかり踏ん張れないと、脚だけではなく腰への負担も増えてきます。普段は爪を引っ込めている猫でさえも、興奮するように走っている時は爪を出しています。そんな時は、角を曲がるのに腰を振って床を滑っているので、さならがドリフト走行のようです。

特に注意したいのは、関節が成長する時期で室内での運動量も多い仔犬・仔猫期や、そして、関節も弱くなりパッドが乾いてくる老犬・老猫時です。足元が安定するように、プレイスペースなどではラグなどのカーペット類を敷いてあげましょう。カーペット類には抜け毛やハウスダストが舞い上がる事を防ぐ効果も期待できます。

カーペット選びの注意点

カーペットを選ぶときに注意したいのは、その毛足がどういったものかです。織り方にはループパイルとカットパイルというものがあります。狼爪(ロウソウ)と呼ばれる爪を引っ掛けて怪我をすることもあるので、爪が引っかからないカットパイルが安心です。ループパイルならば、毛足が短くループの目が詰まったタイプを選ぶと安心でしょう。 タイル式になっていて洗えるものは、傷や汚れができても部分処理ができますから便利です。また、消臭性能があるもの、マンションでは防音性能が高いものなども安心です。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

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