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  3. 第32回 窓辺に猫の寛ぐスペースを

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.32

犬や猫のストレス回避

窓辺に猫の寛ぐスペースを

猫は自分のテリトリーの木の上や草むらに隠れ、そこへ獲物がやってくるのをじっと待つ「待ち伏せ型」の狩りをしてきました。狩りの必要のない家猫になっても、遊びや生活空間の中に、同じような環境と刺激を求めます。眺めのいい場所に登り、穴や狭い隙間をすり抜けるといった行動をさせてあげたいものです。

猫アスレチック

猫を室内で安全に遊ばせるために」で、猫にとってアクティブな空間を室内につくり、室内飼育でも安全に「退屈」と「運動不足」を防ぐ方法をお話しました。天井近くに猫が歩く通路(キャットウォーク)、階段・よじ登り柱などです。私はこういった猫用の活動アイテムを総じて猫アスレチックと呼んでいます。猫アスレチックは、猫のために室内の工夫をしようとすると最初に思いつくアイテムですが、大がかりになりがちで、現状の部屋が狭いと人が感じていると、作るのはためらってしまうもの。

窓辺が猫の生活空間を増やしてくれる

しかし、そんな時こそ窓を見直してみましょう。窓から見える外の空間も、猫にしてみればテリトリーの一部です。室内が狭くても、窓辺が猫の生活空間を増やしてあげることができます。窓から眺める木々や風で、季節の移り変わりを感じるのは猫の心の健康に大切なこと。窓から外を眺めるのは、犬にはあまりお勧めできないことですが、猫には反対で心のよい刺激になるのです。日向ぼっこも大切な日課です。出窓があるようでしたら、猫の日向ぼっこのためにもスペースを空けておいてあげて欲しいものです。人の膝から上の高さにある出窓は、踏まれたりする心配もないので、室内で人と暮らす猫にとっては安心な場所。上下運動もできて寛げもするということで、低めな猫用アスレチックになるとも言っていいでしょう。

腰窓にカウンターを

出窓がなくても、腰窓にカウンターをつけてあげれば猫にとって機能は同じです。カウンター下も使って、猫の箱状のベッドにしてあげもいいでしょう。
高い位置に出窓や出窓カウンターがある時、踏み台のようなものをもうけて、安全に上り下りのできるようにしておきましょう。猫も歳をとると脚力が弱くなってきて、若い時に楽にジャンプしていた場所も、昇り降りがしにくくなってしまうのです。
部屋に掃き出し窓しかない場合でも、窓横に棚などを置くことなどをしてあげればいいでしょう。窓際ならば、腰高程度の小さな家具であっても楽しさ倍増です。窓の眺め方に高さに変化を持たせるのが、刺激を増やして上げるコツ。上手に家具配置をして小さなアスレチックを120%楽しませてあげましょう。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

  • 「犬・猫の気持ちで住まいの工夫」増補改訂版

    単なるペットのトラブル対策に終わらないしつけやトレーニングも踏まえながらのアドバイスが満載。かわいいイラストも◎。改訂版では、室内環境の意識が高まっている猫の情報と、東日本大震災で課題がみえたペット防災対策が増えました。

    彰国社刊 定価(本体 1,800円+税)

  • 「ねこと暮らす家づくり」

    猫の「あったらいいニャ~」に応えるための、賃貸やマンションでもチャレンジできる工夫を案内しています。

    ワニブックス刊 定価(本体 1,300円+税)