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  3. 第34回 音がストレスにならないために 壁編

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.34

犬や猫のストレス回避

音がストレスにならないために 壁編

猫のベッドや犬のハウスを、壁に近寄せて寄せておかれている事が多いと思います。しかし、犬猫の居場所を寄せた壁の向こう側が、庭など静かな空間があればよいですが、交通量の多い道であったり、お隣のキッチンやリビングの窓が近いようなら心配です。窓などの開口部だけでなく「壁」も音や振動が伝わってくるポイントです。特に集合住宅であったなら、構造はお隣と戸境壁一枚を隔ててつながっているものですから、より注意が必要でしょう。

壁から伝わった音や振動がストレスに

例えば、犬や猫のベッドを寄せた壁の向こうがお隣のリビングだった場合。お隣のオーディオやテレビの配置によっては、その振動が壁に伝わりやすくなっています。箱状ベッドであるハウスを、隣戸壁に密着するように置いていたお宅では、お隣のオーディオの音が振動となって、壁からハウスの中に伝わっていたことがありました。ハウスが壁に接触していることで、その中では振動を感じやすくなってしまっていたのです。箱状のベッドのハウスは、寛ぎのためのお勧めアイテムなのですが、これでは中にいると落ち着けません。
ハウスを壁に近寄せて配置するには、その壁の防音性が高いことも重要ですが、まずは、ハウスを壁に密着させず、少しでも離して置くようにする事が大切です。ほんの少し離すだけでも壁からの振動が伝わらず、ハウス内の環境はだいぶ違います。

壁側には本棚を置くのがオススメ

また、音の影響が心配な壁側には、本棚を設ける事がお薦めです。本棚というのは、本を詰めた形で並べると質量がかなりあります。質量があるといことは遮音効果が期待できるのです。さらに、本は吸音性能があるパルプの集合体で、音を吸収してくれるという優れもの。隣の部屋からの騒音対策だけでなく、自分の部屋から出す音を減らす配慮にもなります。隣戸壁だけでなく同じ家の中でも、リビングと接した寝室などにも活用してみましょう。

天井にも防音・吸音素材を

合わせて天井ですが、防音・吸音素材を使う事で、多少の吠え声なら室内で音が響くのをが押えられてお勧めです。ご近所への音漏れも最小限にできますから、シツケの初期やお留守番で独りにしなくてはいけない時など安心です。
ただ、注意して欲しいのは、防音・遮音措置をしたからといって、猫や犬が鳴き続けているのを放置する事はやめましょう。鳴いたり吠えるのは何かのサイン。吠え続けるような場合は、犬にも相当なストレスのはず。単に無視すれば自体は複雑化し、改善が難しくなってしまいます。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

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