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  3. 第38回 窓辺から快適安全に

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.38

犬や猫の安全

窓辺から快適安全に

窓辺を内外で工夫して涼しくするという提案を「庭先からも窓辺を快適に」(第37回)で提案しました。外気温が26度以下であれば窓からの風での涼をとる工夫もできますが、真夏日ではやはり窓を閉めて冷房をつける事が多くなります。猛暑続きでの近年は、冷房に頼る期間も増えています。より冷房効率を上げるには、遮光性の高いドレープカーテンを閉めると言った方法がありますが、これでは日中も真っ暗になってしまいます。そこで、有効に活用して欲しいのがレースカーテンです。

おすすめはレースのカーテン

レースカーテンなら、閉めていても日差しは入ってきますので、部屋が真っ暗ということはありません。さらに、遮熱性とUVカットの機能性レースを選ぶと効果的です。遮熱性というのは繊維に特殊加工をするなどして、日射を反射して部屋の温度の上昇を下げる効果を高めたものです。遮熱性のあるレースは、光は反射しますが風は一般レースと大きく違いがあるものではありません、窓を開けての通気をしている時は、日差しの強い時間帯はレースカーテンが活躍してくれそうです。

窓からの遮熱・紫外線対策も

エアコンで冷房していても、落雷などで想定外の停電も起こります。留守時の万が一の停電対策として、体を冷やすグッズを用意しておくのは大切です。合わせて、部屋の温度が急激に上がらないよう、冷やしておいた空気温度を維持するために、窓からの遮熱対策もしておくとよいでしょう。

UVカットの機能のあるものは、遮光カーテンなどでもあります。室内の床や壁の紫外線による劣化を防げますし、人や動物も紫外線対策をすることができます。紫外線対策は健康管理で重要視されています。室内は関係ないように思いますが、日本はその気候の特徴から、窓を大きくとって日差しと風とを取り入れる住まいの作り方が主流です。窓が大きいのですから室内でも紫外線にあたる確率は高いのです。窓ガラスを閉めていても、日差しとして紫外線の多くは入ってきます。

紫外線にはA波とB波が

紫外線には種類があり、主に地上の動物達に影響があるのは波長の長いA波と短いB波です。ガラスの種類によりますが、窓ガラスによってB波はだいぶ遮断されます。しかし、A波はガラスを通過します。健康的な日焼けとなると思われていたA波ですが、A波は波長が長いために、皮膚の深い場所にまでダメージを与え、老化の要因でもあります。

今、犬や猫も高齢化に伴って癌の疾病が増えています。日焼けによる水ぶくれや急激なダメージはB波によるものですが、A波にも長期さらされていると、慢性の日光性皮膚炎となり癌へと悪化してしまいます。そのため、人も動物も高齢者ほど紫外線対策に配慮すべきと言えます。また、猫では白い猫、犬では種にも左右されますが、白い毛の犬は黒い毛の犬より紫外線の影響を受けやすいので、より、注意をしてあげたいものです。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

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