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  3. 第39回 トイレの工夫 犬編

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.39

犬や猫と共に暮らすためのアイデア

トイレの工夫 犬編

室内で犬と暮らす、となって誰もが苦労するのはトイレのしつけです。排泄は室外に出すことにしようと人が決めても、当の犬にその決まりを理解してもらうには、それなりにトレーニングが必要となります。ハッと気が付いた時には室内で排泄されてしまった、という失敗が多いもの。特に初心者飼主はトレーニングにてまどり、何度も失敗してしまいます。しつけのコツは成功の回数を増やす事ですが、裏を返せば、失敗する回数が多いほど、しつけが難しくなるわけです。失敗を減らす工夫を住まいでもしてあげましょう。

サークル内にはトイレスペースが置ける広さを確保

まずは、トイレトレーニングが終わるまでは室内にもトイレを確保しましょう。「躾のしやすい住環境をつくるポイント」(第3回)でも提案した、「サークル内にはトイレスペースが置ける広さを確保」というものです。

部屋中を犬が自由に動けていれば、ウッカリ目を離したすきに排泄されてしまいますが、排泄したいタイミングにサークルの中にいたのなら、その範囲内で犬にとって快適な場所で排泄します。排泄のタイミングは、仔犬なら寝起きや食事の後などです。

犬にとって適切な排泄場所とは

では、犬にとってサークル内でどこが適切な排泄場所に思えるのでしょうか。犬にとって、寝床以外は家の内外を問わず排泄場所となります。しかし、寝床や食事をする場所からはできるだけ離れた場所でしたいのです。この習性を利用して、サークル内で寝床から離した場所にトイレシーツを敷いてあげれば、自然とトイレシーツの上でトイレをするようになります。トイレシーツの上で排泄した時に「いいこね」とほめてあげると、「排泄の場所はトイレシーツ」と犬に無理なく覚えてもらえます。

住まいに合わせて位置関係を工夫しましょう

簡単そうですが、失敗している方も多いようです。例えば、シーツの上の排泄に成功しても、その排泄物を踏んで歩いてサークル内が汚れてしまう、といったものです。これは、広さとトイレの位置のポイントを押さえられていないからです。サークルが狭すぎていると、動く場所がたりなくてトイレスペースに入ってしまうのです。ですから、寝床とトイレスペースの間には寝床より一回り広い程度のフリースペースをもうけましょう。

また、トイレスペースとフリースペースの広さが十分でも、それが横並びであったりすると、トイレスペースで排泄しにくくなります。できるだけ寝床やハウスの入口からまっすぐ行ける場所にしておくと犬にはわかりやすくなります。既成商品のサークルサイズにとらわれやすいですが、スペースの確保が難しい場合は、サークルが細長くなっても犬としてはかまいませんから、住まいに合わせて位置関係に工夫してみましょう。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

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