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  3. 第40回 トイレの工夫 猫編

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.40

犬や猫と共に暮らすためのアイデア

トイレの工夫 猫編

猫は体臭がしないので、家のニオイは大丈夫と思っている方が多いようですが、猫のいる家でもニオイに対する関心を持つようにしましょう。

猫のトイレとニオイ対策

猫は犬と違って体臭がありませんし、よだれの心配も少ないですから、それらに由来したニオイの心配は少ないです。しかし、トイレはかなり強いニオイがするものです。それは、一回ごとに使い捨てるというトイレ仕様ではないためです。トイレ砂とトイレトレーは洗って天日消毒をすればニオイはとれますが、一般的な家庭では毎日小まめに掃除をしていても、砂は数日継続して使用しますし、トレーは毎回は洗えません。使用時に砂が飛び散ることも多く、砂を触った猫の肉球について、周辺の床にもニオイの素を広げている可能性があります。多頭飼育でトイレの数が多ければ、その範囲も広がっていき、玄関先でニオイに気がつくこともあるものです。

不快なニオイは室内環境の悪化を示しているといえます。放置するのは家のためにもなりません。何よりも猫の健康のためにも、日ごろから室内とその猫のニオイを管理する事は大切です。排泄物の色や形だけでなく、ニオイでも体調を判断しますが、清潔なトイレでないとニオイの適正判断は難しくなります。

安全で清潔・快適なトイレを用意してあげましょう

猫自体もきれい好きで、トイレの清潔さを重視しています。汚れていれば排泄を我慢したり、トイレ以外の不適切な場所に排泄してしまうといった、困った問題につながります。排泄を我慢させてしまうと、腎臓結石などの疾病になりやすくなります。カーペットやクッションといった不適切な場所への排泄は、病気だけが要因ではなく、柔らかい土や砂の感触に似ていて、無防備になっても安全な場所をさがしての結果ということもあります。

排泄のトラブルは、心や体の病気やシツケの問題だけでなく「備えられたトイレが気に入らない」という単純な人側の管理ミスの場合も多いということです。猫にとって安全で清潔な快適トイレを用意してあげることは大変重要なのです。

猫が安心できるトイレの場所とは

猫が安心して排泄ができる場所は、人通りが少なく落ちついていること、また、少し狭くて横からちょっかいを掛けられないような、狭く囲われた場所が好まれます。そして、ニオイを室内に定着させないためには、通気や排気が大切です。そういった点から人のトイレの中が効率の良いポイントです。落ち着いて排泄行為ができるよう、もともとコジンマリとした広さになっている上、排気計画もされています。トイレに流せる砂を使っていれば、排泄物をどこかに保管することなく、手間無く流せます。(流してよいかは、地域の条例を確認しましょう)

流し台の下も調度良いサイズの空間ですが、その周辺の床や壁を水拭きできて消毒液がかけられる仕上にしておきましょう。フードの付いたトレイトレーを使う方法もありますが、その際でもトイレから出入りする床に、洗えるラグやミニマットを敷いて、砂の飛び散りと肉球についた汚れをとるとより清潔です。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

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