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  3. 第42回 ペットゲートの配慮

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.42

犬や猫と快適に暮らすためのインテリア

ペットゲートの配慮

第5回(「住まいの中で気を付けたい“危険”」)や第17回(「扉の安全の工夫」)の中で、住まいの中の危険防止のために、立ち入り禁止区域はしっかり仕切る必要性があり、そのためのアイテムの一つが「ペットゲート」であるとご紹介しました。住まいのペットグッズが少なかった時代には、子供用の「チャイルドゲード」を転用していたことも多かったですが、今は沢山のペットゲート商品があり便利になりましたね。

「防ぐ→乗り越える」のイタチゴッコにならないために

便利になったように感じはしますが、一方、ゲートをつけてもよじ登って越えてしまうとか、走り高跳びで飛び越えるなど、ゲートという障害に果敢に挑もうという犬猫の"勇士"?が出てきてしまうこともあり、その効果にはムラがあるようです。つまり、「ただつければいい」というアイテムではないわけです。設置する適所はもちろんの事、ルールを教えるという事も合わせて行わなくては、「防ぐ→乗り越える」というイタチゴッコになってしまうということを認識しておきましょう。

イタチゴッコにならないためにするべきなのは、主なポイントは2つ。

1.登らせない

犬や猫が足をかけられるような横桟パーツが下部にないこと。格子デザインならば、基本的にタテ桟となるようにしましょう。チャイルドゲートを転用している場合、下部がくぐれるような状態のものが多くあるので、市販品を利用でも必ずペット用品から選びましょう。

2.高跳びさせない

廊下につける場合は、助走距離がとれない配置で設置しましょう。高跳びするのは、特にマンションなどで、細長い廊下から玄関扉に一直線になっている廊下に多いようです。魅力的な目標物(飼い主が帰ってくる扉)と、助走がしやすい、という条件がそろっているからです。

その他、いくつかの条件と背景が重なって起きるものなのですが、最低上記2点は気をつけましょう。

ルールを徹底しましょう

その他の背景の一例としては。犬の成長に合わせて、または飛び越えられたために高さを次々と高くしていった、というものです。こういう流れを作ってしまうと、犬猫にチャレンジ魂に火を着け、こまった"勇士"にしてしまいやすくなるというものです。

その他の背景は、多くがルールを徹底しない飼い主側に問題があるようです。場所の制限をしようとして単にゲートを高くしたりしてみても、生活としての根本的な解決になっていません。

まずは、「このゲートは、向こう側に勝手に出入りしてはいけない、という印だからね」という事を日ごろのシツケで徹底認識させましょう。この認識ができていれ、低いゲートでも「制限区域」という機能は十分発揮されます。低いゲートは、視界を遮らないので人の室内での快適性を上げるため、窓前での使用に効果的です。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

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