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  3. 第43回 音がストレスとならないために 押し入れとハウス編

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.43

犬や猫のストレス回避

音がストレスとならないために 押し入れとハウス編

押し入れや収納を、猫のベッドや犬のハウスとして活用する方法も広まってきたようです。インテリアとしても犬のハウスやトイレを隠せてデザイン性も上がりますが、犬猫にとっては収納を居室に機能変更するのと同じことなので、いくつかの注意や配慮が必要です。

あるお宅の場合・・・排水管が犬のストレスに

あるお宅の場合はマンションで、コンパクトな空間を上手に使おうと、押し入れの下段を利用して犬のハウスとして活用していました。天井が低くてある程度の広さが確保できる押し入れは、犬にとって穴倉形状で最適な形です。

ただ、このお宅が利用していた押し入れの奥には、実はマンションの上下階で共有する排水のタテ管のスペースがあったのです。これが犬にとって音のストレスとなっており、ハウスに入っていても落ち着けていない状態にとなっていたようです。

犬猫が静かに休めるように配慮を

マンションという集合住宅では、壁や床などの構造だけでなく、排水などの設備も共有しています。建築上の配慮として、トイレや生活排水が使われるたびに排水音があるので、パイプスペースは防音処置を施します。なおかつ、寝室等に接する場合は収納の奥に配置するなど、より音が気にならないようにするのが一般的です。

ですから、犬や猫に対しても、寝場所は静かに休めるようにしなくてはいけません。犬猫にもそこが居室になるのです。ですから、居室にあるパイプスペースには収納などの緩衝スペースを設けるなどして、極力放して設置する必要があるわけです。戸建でも上階の水回りの給排水のタテ管のためのパイプスペースが室内にあることもあるので、この場合も配慮は同じです。

音による犬猫のストレスを防ぐために

リフォームして犬猫のハウススペースを造ろうと考えられている時には、音のストレスを起こさないために、ご自宅のどこに共用の設備配管がされているか確認してみることをお勧めします。

また、押し入れは収納の下部をハウスとして活用する工夫は、周辺や外観がすっきりする半面、小さく奥まった形状になるため、内部の通気・換気がしにくい、掃除がしにくいというデメリットもあります。音だけでなく、熱や臭いがこもらない、掃除のしやすさといった点にも注意して計画しましょう。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

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