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わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.44

犬や猫の安全

防災対策にハードクレート

先の大震災から、改めて日頃の防災が叫ばれています。犬や猫達の防災も忘れず備えておきましょう。

室内での犬猫の防災計画

大きな地震では激しい揺れで家の中がかき回される状態となり、家具や室内にある物が周辺にあるものだけでなく、遠くにあるものまで飛ぶように降ってきたりします。

「地震の時、テーブルの下に入る」というような知識は犬猫にありません。怯えて走り回って、落下物や倒れた家具でケガをする可能性があります。大きな揺れや音でパニックとなり家から飛び出す、家の中にいても隠れて出てこない、という問題もあります。

体だけでなく心の負担もあります。災害に陥った時、その状況判断を犬猫はニュースや言葉での説明で理解できません。恐怖感から解放されるのは時間がかかるでしょう。こういったパニック状態でも落ち着いて避難できるよう、恐怖感の軽減と事故や逃走防止に対する備えを日頃の生活環境で作っておくことが、犬や猫がいる家庭では大切です。

実は、室内での犬猫の防災計画で、すぐできて安全率の高いオススメなアイテムが身近にあります。

日頃から安全な隠れ場所として

犬猫共に安心できる隠れ場所(寝場所)として、「ハウス」が重要であることは、何度かお話してきました。安心できる隠れ家とするには「巣穴」形状で体がすっぽり入る程度の、大きすぎない小さすぎない大きさであることでしたね。それに丁度いいものが、普段は病院などへの移動に使われている「バッグ」や「クレート」です。犬猫がいれば、1つは家にあるはずです。これを普段から魅力的な「隠れ場所」として活用していれば、安全確保と即時避難という防災対策ができてしまうのです。

地震などの大きな恐怖感を感じた時、犬猫は自分から「日頃から安全な隠れ場所」へ飛び込んで隠れます。隠れ家がハードクレートなど硬くて丈夫なものであれば、飛来する落下物にからカバーしてくれます。とっさに避難が必要な場合でも、隠れたコを探す手間は省けるので、手間取ることなく避難ができます。

バッグをベッドとして兼用してみましょう

カウンター下や収納の一部を犬猫用のスペースに確保するよう作ってあると、ベッドを屋根のないものにしている事が多いですが、防災面からの活用方法があるので、バッグをベッドとして兼用してみましょう。

ただ、現在使っているベッドをいきなり入れ替えるのは難しいものです。その場合、使用中のベッドの横やサークルの隣にクレートを置き、扉を開けて出入り自由にしておきます。快適な場所と気がつけば、いつの間にか使うようになります。猫の場合では、穴倉形状のベッドは高い場所ではなく、床近くに配置しておくことが防災面で必要でしょう。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

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