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  3. 第45回 防災対策とペット用品・備蓄品置き場

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.45

犬や猫の安全

防災対策とペット用品・備蓄品置き場

収納の容量や使い勝手を、防災対策の備蓄という観点からも見直してみましょう。

犬猫のためにも専用の防災持ち出し袋を

非常食や薬品などの物品を、日頃から持ち出し袋に入れて備えるというものがありますが、人とおなじく、家族の犬猫のためにも専用の防災持ち出し袋を準備しておく必要があります。被災時には地域の指定の避難所に支援物資が届きます。前例からみると、支援物資がくるまで数日かかっていますが、ペット用の物資はさらに数日かかってしまいます。

犬猫用には最低1週間分の食料を

こういった現状を飼主は理解しておかねばなりません。人用の非常用持ち出し袋には、最低3日の食料を用意すべきと言われていますが、犬猫用には1週間分を最低準備しましょう。持病があるのであれば、常備薬と共に診察履歴のわかるノートを一緒に入れておきます。また、腎臓などで療法食をとっているようであれば、緊急時はなかなか手に入らないという事も考え、多めに入れておくべきです。猫の場合は慣れたものでないと食べないという事もありますから、健康な子でも食料の確保は重要です。トイレのシーツや砂の準備も大切ですね。猫では砂を入れるトイレトレーが必要になりますが、日頃使っている物だと緊急移動時には荷物になって持っていけない事もあります。持ち出し袋の底にトイレトレーの非常時の代用になるものを敷いておくと便利です。

常食のものを非常用にも利用しましょう

非常食は持ち出し用の袋に全部を入れなくてもよいとはいえ、人以上に犬猫のための非常用持ち出し袋には、入れておくべきものが割と多いということが見えてきます。また、フードは常食のものを非常用にも利用するために、わりと頻繁に入れ替える必要があります。人用でも防災用備蓄品の扱い方として、非常食と水は日頃使いながら補充していき、常に新しい状態にしておくという方法が推奨されていますから、利にかなった方法ではあります。しかし、備蓄品とはいえ、日頃から取り出しやすい場所にあるべきという事が住まい方では見えてきます。

ハウス近辺に非常用持ち出し袋の置き場を

また、緊急に自宅から避難する場合を考えてみましょう。犬猫の入ったキャリーバックやクレートと同時に、非常用袋をつかんで即座に移動しなくてはいけません。こうなると、ハウス近辺に非常用持ち出し袋の置き場があることが望ましいと言えるでしょう。ハウスやベッド空間の上部や隣接する収納に、ペット用非常持ち出し袋を用意すると動線か短くなるため、手早い避難が可能になります。また、食料を保管しているのですから、その収納は衛生と温度管理がしやすい仕様にしておくと良いでしょう。

このように、ハウスの置き場や日常の給仕の動線など、防災という観点から改善できる点は多そうです。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

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