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わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.46

犬や猫と共に暮らすためのアイデア

隠れた壁にも配慮を

動物と暮らす家庭では掃除のしやすさは大切です。つい、見えるところばかりの汚れを気にしがちですが、収納内部や家具の裏で常時隠れている場所も室内の一部。環境の健全性を保ちたいものです。

見えない場所は放置されてしまいがち

ふさがれたり覆われたりして隠れた場所というのは、状態を目視しづらいというだけでなく、空気も流れにくい状態の場所です。例えばタンスの裏です。ここは、夏場では乾いた風が送られにくく、湿気を排除しにくいポイントです。冬場では、室内の暖められた空気が壁面にふれ、条件によって壁面に結露がおきることがありますが、見えない場所であると気がつかれず放置されてしまいがちです。

汚染源を作らないためには

動物がいれば、抜け毛やフケが室内に増えることになります。適切で健康な管理をしていても避けられません。毛やフケは、カビや微生物の栄養源になるタンパク質です。わずかな空気の流れにのって部屋の隅に移動し、湿気や微かな引っ掛かりで留まります。そうして、秘かに環境劣化の汚染源になっていくのです。

家具の裏にこの汚染源を作らないためには、家具の裏にも空気の流れを積極的に作ることです。抜け毛やホコリが裏に行かないようにと、壁にぴったりつけるようにしている方がいますが、置き家具であれば完全にすき間を作らないことは不可能です。空気の流れを良くすることの方が効果的でしょう。暖かい空気が壁に当たり冷えることで床に降りてきます。家具が脚つきであれば家具下にも空気の流れを止めることがありません。湿気を家具裏にためることも減らせます。カラ拭きモップや掃除機が届く程度の脚の高さとなっていると、より掃除がしやすくなります。

隠された場所を衛生的に保つには

ただ、やはり隠れされた場所は掃除がそう頻繁にできません。季節的な大掃除をする時には、こういった壁面を固く絞った雑巾で拭き掃除すると衛生的です。爪とぎなどの問題がなくとも、こういったメンテナンスの必要性から、表面強化クロスなどが便利でしょう。

置き家具だけでなく、造り付けのクローゼットや納戸も、空気が内部でよどみやすい空間です。特に洋服などの湿気をとどめやすいものが多く、カビなどを繁殖させやすくなっています。収納内の空気の循環対策とともに、内壁面の仕上を拭き掃除できる素材にしておくと衛生的です。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

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