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  3. 第47回 住まいの3要素と「楽」

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.47

犬や猫と共に暮らすためのアイデア

住まいの3要素と「楽」

もっと我が家を楽しむために、犬猫と暮らす家の初心に戻ってみましょう。

お互い支え合い時間を積み重ねること

住まいにおける家族の構成要素、犬や猫と暮らす家庭ではもちろん「人」と「犬猫」、そして「家」です。人と犬猫とは生理生態は違っても、「快適」という基本欲求は共通でしょう。モノである家ですが、「住居としての健全な機能を長く発揮する」ということが期待されます。この家族の期待と家族への義務が、建物としての欲求と言いかえて考えられるでしょう。この3者の要求が、お互いを支え合い時間を積み重ねていくのが「家庭」となるのではないでしょうか。

満足度の高い生活空間を築くために

満足度の高い生活空間を家庭に築くためには、家族の要求を正しく理解していかないと、無駄な妥協や諦めが出てしまいがちです。無駄な妥協とは、「犬が家の中で騒ぐのはしかたない」「猫が爪で家を傷つけるのはしかたない」が代表的なものです。的を射ていない妥協でも、一時は方付いた気がするかもしれませんが、相手の本来の悩みや求めに対しては目をそむけていたのでは、双方が負担を抱え疲れきるだけです。誰も幸せにはなれていませんね。相手の要求の芯を見極めれば、それほど負担にならない方法だって見つかるはずです。

家族によってたくさんの都合があっても、基本の望みは単純。負担が少なく楽できること、日々が楽しいこと。この二つをまとめて「楽」とし、「人の楽」「犬猫の楽」「家の楽」という、3つの都合と関係性でみると整理しやすそうです。

人・犬猫・家の「楽」をバランスよく組み合わせましょう

例えば、「人の楽」「犬猫の楽」の関係は、うちのコが落ち着いてくれたら、飼主さんも落ち着ける、飼主さんの落ち着いている様子を見て、犬猫も落ち着ける。犬猫が楽しんでいると、人も住まいが楽しくなるという相乗効果があるもの。「家の楽」とは建物の耐久性や快適性が上がることですが、管理と維持がしやすいという「人の楽」になります。

特に家の中が生活のすべてである猫にとって、家との関係は重要です。家の中で楽しく運動ができて、猫同士の社会関係も無理なく維持できる住環境と言う「猫の楽」は、退屈や緊張から出た破壊行動を減らし、家を長持ちさせる「家の楽」に関係するのです。

3者がそれぞれに「楽を」して「楽しむ」という住まい方。3者の「楽」をバランスよく組み合わせ、豊かな住まいにしていきましょう。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

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  • 「ねこと暮らす家づくり」

    猫の「あったらいいニャ~」に応えるための、賃貸やマンションでもチャレンジできる工夫を案内しています。

    ワニブックス刊 定価(本体 1,300円+税)