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  3. 第49回 ハウスが隠れ家であるために(前編)

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.49

犬や猫のストレス回避

ハウスが隠れ家であるために(前編)

穏やかで友好的な性格を養うとか、家庭内の学習の効率を高くするために、トレーニング方法を主として様々な方法が提案されています。共通して必要なのは、人と犬猫の双方がリラックスできていることでしょう。

私からは住まいのアプローチの方法として、犬猫に箱状のハウスやベッドを用意してあげるようお勧めしてきました。犬猫の安心を確保できる隠れ家の提供です。

ハウスが隠れ家として機能しているか

しかし、用意してあげた隠れ家は、その機能を十分に発揮できているでしょうか。隠れ家が上手に機能しているかどうかは、室内でのシツケの苦労にも影響してくるのではないかと考えています。ハウスや隠れ家を与えてあげているのに、あまりそこで落ち着いていないとか、ビックリしやすいという様子があれば、その隠れ家が、安全に引きこもれる状態なのかどうか、疑ってみる必要がありそうですね。

例えば、ハウスがリビングの中にポンと置かれている状態で済ませていたりしないでしょうか。ハウスの入り口の目の前を、人が頻繁に動き回るような通路状態にあるなら、ハウスは隠れ家としての機能があまり発揮できていない可能性があります。

隠れ家の周辺に「間」をとること

小型犬や猫にとっては、人はかなり大きな動物です。鼻先を人が大股でバタバタ通る状態になっているなら、少しばかり繊細な性格なら落ち着かないでしょう。緊張を解き安心して脱力するために大切なのは、隠れ家の周辺に「間」をとること、と私は考えています。間とはこの場合は空間と言い切ってもいいかもしれません。

ハウスの周りには少し落ち着ける空間がとりまいている状態であるのが望ましいのです。ハウスを取り巻く空間は、家族との生活空間との接点になります。大きさは、そのコの体の大きさはもちろん、性格によっても違います。広すぎても狭くても空間がないのと同じになってしまいますので、多少の検討は必要になりますが、犬猫の視線に立って見てみると、判断し易くなります。

ハウスの快適性を高めてあげる手助けを

立体的に空間を活用できる猫にはサークルなど使うことは少ないですが、間を高さでも工夫できるからです。犬では、ハウスの入り口の方向を変えてあげることでも、隠れ家と家族の活動空間に間が生まれます。実のところ、ハウスの周りにサークルを設けるのは、トレーニングに使うだけではなく、ハウスとリビングとの間に適度な空間を設けるための、手っ取り早い対処にもなっているわけです。サークルの大きさは、単にトイレや食事などができるといっただけでサイズを判断するのではなく、ハウスの周辺の間がとれるかといった観点からも見てあげると、ハウスの快適性を高めてあげる手助けにもなりそうですね。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

  • 「犬・猫の気持ちで住まいの工夫」増補改訂版

    単なるペットのトラブル対策に終わらないしつけやトレーニングも踏まえながらのアドバイスが満載。かわいいイラストも◎。改訂版では、室内環境の意識が高まっている猫の情報と、東日本大震災で課題がみえたペット防災対策が増えました。

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  • 「ねこと暮らす家づくり」

    猫の「あったらいいニャ~」に応えるための、賃貸やマンションでもチャレンジできる工夫を案内しています。

    ワニブックス刊 定価(本体 1,300円+税)