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  3. 第52回 窓周りの対策

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.52

犬や猫と快適に暮らすためのインテリア

窓周りの対策

犬や猫が窓辺で寛ぐ姿を見るのは、至福の時です。そんな素敵アイテムの窓ですが、玄関や勝手口同様に出入り口としての注意は必要です。窓はドアなどとは違った2つの特徴があります。1つは、人の視界を広げるという開放性のためにガラスなどがはめこまれていること。もう1つは外気の取り入れ口でもあり、その多くに虫除け網戸の付置がなされていることです。

犬や猫が網戸に突っ込んでしまうわけ

掃き出し窓の網戸に、犬がたびたび突っ込んで破れてしまう、という相談を受けたことがありました。突進してというのはどうしてなのかと、状況を調べてみると、そこは長めの廊下のつきあたりの窓で、全速力で走ってきた犬には、網戸が分からなかったようです。人でも透明に近いものをすぐに認識するのは難しいものです。犬や猫が勢いを付けて走ってきたのであれば、鼻先で障害物があるのに気がついても、その直前でストップするのは、なかなか難しいですよね。網戸なら、破れてしまった程度ですみますが、ガラスではぶつかると痛いですし、割れでもしたら大事です。

ガラスや網戸には安全対策を

長い廊下の突き当りや、広い部屋などで走って突っ込める場所にある窓やガラス戸を設けた時は、網戸やガラスが張られていることがわかりやすいよう、対策をしておいた方が安心です。犬や猫の視線の高さまではスリガラス状にしておくことや、窓の手前に柵を設けるなどがあります。第9回の「窓周りにおしゃれな工夫を」でご紹介したことがありましたが、掃き出し窓ならば、格子戸を柵の代わりに取り付ける事がお薦めです。格子戸は流行のインナーサッシに近い使い勝手となります。

これは、安全対策と共にイタズラ防止にもなります。例えば、網戸には外側に虫やゴミが留まっていることがあり、猫を遊びに誘います。床から網が立ち上がっていれば、猫にとっては魅力的な足場になり、よじ登る楽しいものと学ばせてしまいます。網をグラスファイバー製など丈夫な素材にしても、加重がかかれば網自体が戸の枠から外れてしまう恐れがあります。

軽い引き戸は猫が開けないよう対策を

また、網戸には、使わない時はたためて窓周りがスッキリ見えるという、意匠性の高いプリーツ式網戸があります。しかし、この網戸の構造だと小さな犬や猫では下端から潜って簡単に出てしまうという難点がありました。しかし、手前に格子戸があれば、直接網戸に猫が触れることを防げます。網戸の選択肢も広がります。

猫ではもう一つ注意事項があります。格子戸の開きが軽い引き戸で、人に開けやすいものは使い勝手は良いですが、猫にも開けやすいのです。人だけが届く位置にフックなどの錠を付けておくと安心でしょう。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

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