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  3. 第57回 住まいをメンテナンスする時の配慮

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.57

犬や猫のストレス回避

住まいをメンテナンスする時の配慮

住まいというのは、メンテナンスが大切です。構造的な経年劣化の補修というだけでなく、その使い手である家族の生活の変化に対応させる必要があります。メンテナンスは、日頃の清掃から、構造改修までの大きなリフォームや建替もそうです。

人の生活というのは、5年を目安に住まいの見直しもしていくものと考えるべきでしょう。だいたいそれぐらいの期間で暮らし方が変わるからです。暮らし方が変わる大きなイベントは、修学や就職に結婚といったものですが、大きな家具や家電を買い換えたり位置換えというものもあります。こういった家具の入れ替えは、だいたい3~5年周期であるように実感しています。犬や猫では3~5年単位で食事や生活の見直しが必要になりますので、これらのサイクルで適切なメンテナンスをするのが、リフレッシュを成功させるコツでしょう。

環境変化によるストレスを減らす工夫とは

住まいのメンテナンスをする時、一時的な転居の必要や、自宅内であっても食事場所や寝る場所を変えなくてはならなくなります。住みながらの改修であると、知らない人や物が頻繁に出入りし、部屋の状態が様変わりします。犬や猫にしてみれば、緊張と不安という負担を強いられる期間です。生き物にとって、一番大きなストレスは、慣れた環境が変化することから、少しでも負担を減らす工夫をしてあげましょう。

犬や猫の日常の居場所を変える必要がある場合、一週間以上前から準備しましょう。一時的な転居空間となる部屋に犬猫を先に仮住まいさせ、その空間にもなじんでもらうためです。

寝床以外にも、以前から使っていた愛着の「大きなもの」を、仮住まい空間にもっていくと効果的です。愛着のある「大きなもの」とは、自分と家族のにおいがついた、ソファーや置き型のキャットタワーなどです。

クレートトレーニングは犬だけではなく猫にも必要

クレートなどのハウスが常日頃から安心な隠れ家として利用されていると、自分の個室ごと移動することになり、大きな負担減になります。こういった10年以上の生活を見すえれば、クレートトレーニングは、犬だけでなく猫にも必要であることが分かります。

マンションでの注意

日本のマンションでは、10年ごとの大規模修繕という全体工事があり、室内に工事が入らなくても注意が必要です。建物全体を囲うように足場とネットがかかる事が多いからです。バルコニーや窓の前に足場ができるのです。景色や風通しが変わるのはもちろんですが、2階以上にお住まいだと、普段は人が窓先にいることなんてありませんから、工事の人が横切るとビックリしますね。屋外だから関係ないと考えず、工事の人の往来の影響が少ない場所への犬猫の避難も検討しましょう。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

  • 「犬・猫の気持ちで住まいの工夫」増補改訂版

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  • 「ねこと暮らす家づくり」

    猫の「あったらいいニャ~」に応えるための、賃貸やマンションでもチャレンジできる工夫を案内しています。

    ワニブックス刊 定価(本体 1,300円+税)