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わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.66

犬や猫の安全

防災対策は家具の配置からも

地震時に注意しておきたい重要ポイント

震災が続いてしまった事で、逆に「ペット防災」という単語も定着するなど、犬や猫との防災意識が高まっています。

普段からハードクレートを魅力的な「隠れ場所」として活用していれば、安全確保と即時避難という防災対策ができてしまうと、「第44回 防災対策にハードクレート」で安全対策として提案しました。様々な災害が家を襲いますが、地震の場合に注意しておきたい重要ポイントがその「隠れ家」とお部屋の扉と窓との位置関係です。今回はその位置関係の注意点について考えてみましょう。

犬猫と一緒に避難するために

大きな恐怖を感じたときに、犬猫が自分から飛び込んで避難する「隠れ家」のハウスは、大きな家具の転倒や落下物からの危険を避けるために、柔らかい素材の箱よりハードクレートなどの硬くて頑丈な素材の箱であることが望ましいものです。ベッドの周りを、頑丈な構造のサークルで囲っておくなども安全を確保する方法の一つです。この隠れ家の構造は、地震直後の身を守ってくれますが、その後についても考えておきましょう。直後の被害を逃れたら、次に家族で避難が必要になることがあるからです。

家族で家の外へ避難が必要になった時、犬猫が避難しているハウスがある部屋に、人が迎えに行かなくてはいけません。しかし、扉の前に家具が倒れていて開けることができず、救助が遅れたという事態が過去の震災で報告されています。タンスや本棚といった大きな家具が、扉の前に配置されていると避難が遅れる可能性があると言うことを理解しておきましょう。家具の転倒防止の正しい対策をしておくと同時に、万が一、家具が倒れた時の状態も想定して、家の中における避難通路も検討しておきましょう。大きな家具だけでなく、リビングではテレビなどの家電の配置もチェックしておきましょう。大きな揺れで、まさに「大型テレビが歩いてきた!」という現象も起きます。

窓への安全対策

家具による被害では、揺れでひとりでに動いてきた大型家電がガラス面に激突し、割れてしまったという窓への被害の拡大についても予防すべきです。割れてしまった場合、振ってくるガラスは凶器になります。開放的で美観に優れた背が高い大きな窓は、特に注意しましょう。飛び散るガラスから難を逃れられても、救助で人がその部屋に入らなくてはいけないこと、また、不安から部屋の中を動き回った犬猫が、床に飛散したガラスでケガをする可能性も高くなるのです。ガラスの割れた窓から飛び出しての迷子報告もあります。このように、過去の震災では割れて飛散したガラスによる事件や負傷者が多数発生しています。ガラスには飛散防止フィルムなどを利用し、さらにカーテンなどで室内側を二重構造にしておくと安心ですね。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

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    猫の「あったらいいニャ~」に応えるための、賃貸やマンションでもチャレンジできる工夫を案内しています。

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