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わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.67

犬や猫と共に暮らすためのアイデア

隠れ家にも空気の流れを

犬のハウスは、犬にとっての「隠れ家」となるような状態にしましょうと、第49回「ハウスが隠れ家あるために」でお話しています。家族の居場所からの適度な距離や、潜り込むようなサイズ感が大切ですが、衛生的であり、さらに、温度・湿度といった皮膚で快適性を感じさせることも大切でしょう。

下部空間を隠れ家にする際の注意

壁面収納の下部に空間を空け、犬のスペースとされているお家も増えてきました。下部の収納は人にとっては屈まなくてはならないので不便な場所ですが、犬にとっては丁度よい窪みになり、人が活発に動いているリビングの中にあったとしても、犬は落ち着いて寝そべっていられる場所です。下部空間を利用するのは、空間の広さを感じることにもなり、人と犬のお互いの都合が良い場所ですね。しかし、こういった場所は空気の流れが起きにくく、空気の入れ換えがないことや、犬の皮脂がこすりつけられる場所でもあることから、臭いが取れにくく気になる場所であることも理解しておきましょう。壁や床にこすりつけられる皮脂は、環境劣化の元となるカビなどの微生物の栄養分になります。隠れ家スペースの空気環境も快適で、健康な空気を呼吸することができるよう、汚れを定着させずに取り去るようしておきましょう。

その対策として、犬のベッドを洗える物にしておく他、スペースの内部は拭き掃除をしやすくしておく必要があります。清掃には消臭性能のあるスプレー洗剤を使うこともあるので、壁面はウエットクロスが使えるような丈夫な素材で仕上げる事が望ましくなります。床面も同様に、水拭きがしやすいことが必要でしょう。

重要なのは空気の流れを作ること

清掃性の高い仕上材を採用するだけでなく、重要なのはこのスペース内に風が通るように空気の流れを作ることと考えています。この小さな空間で空気がよどんでしまうと、室内全体への臭いの拡散につながるからです。隠れ家スペースにも通気があるように工夫しましょう。私がプランする時には、隠れ家スペースは、必ず空気の流れの最終ポイント、排気されるところに近くなるようにしています。つまり、外気や空調から出てきた空気は、お部屋の中を流れてから隠れ家スペースを通り、最終的に排気されるような流れにしているわけです。

涼をとるにも、この空気の流れは使えます。人より快適気温が低い犬達ではありますが、エアコンからの冷たい空気が直接体にあたるのは体に良くありません。冷気は、室内通気の流れに沿って、そっと寝場所に流れて来る状態の方が、体にも優しくて快適でしょう。

ここで注意しなくてはいけないのは、換気扇を直接スペース内には付けないことです。隠れ家スペースは小さな空間ですから、換気扇が犬の耳に近くに配置されることになり、落ち着かなくなってしまいます。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

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