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わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.68

犬や猫のストレス回避

ゴミ箱は開けられない工夫を

室内でも遊ばせる方法として、第65回「室内でも掘る遊びを」を紹介してします。子供用のプールや大きめの衣装カゴを使っての砂場のような「室内穴掘りコーナー」をつくるというものです。ところが、こちらがそれとは意図していないのに、犬や猫たちから見ると「室内穴掘りコーナー」に思えてしまう、厄介なインテリア設備があります。それは、ゴミ箱。

ゴミ箱は「見えない」「触れない」状態にしておく

箱という時点で、猫は入りたがり、犬は中身を見たがりますね。そして中にはガサゴソいう刺激的なものや、おいしそうな匂いのついたオヤツの空き袋が入っていたりします。つまり、ゴミ箱は犬や猫からしてみると、宝の山に見えてしまっているのです。

簡単にゴミ箱を触れたり、のぞき込めたりする状態であれば「入っちゃダメ」「引っ張り出しちゃダメ」といっても、宝の山を無視しろというのは、犬猫にとっては無理な注文というものです。彼らに妙なストレスを与えないように、ゴミ箱は「見えない」「触れない」という状態にしておきたいものです。

収納の一部にゴミ箱を組み込む工夫

こういった理由から、ふた付きのゴミ箱をお勧めしていますが、より対策を進める工夫としては、収納の一部にゴミ箱を入れ込むというものがあります。ただし、その際も、注意しないといけないのは、組み込み方によっては危険な事もあるということです。

カウンター収納のカウンター下にゴミ箱を設置し、カウンターに開けた穴からゴミを捨てるタイプでは、犬の場合には危険性は少ないですが、カウンターに乗れる猫では、穴から入り込んで出られなくなる、という事故につながります。また、ゴミ箱を入れ込んだ収納の扉部分に開口をもうけたタイプの場合では、開口のサイズによっては、小さい体のコは入れてしまいます。そのため、細長い開口にしなくてはなりません。

このように、人には簡単に使えるように、しかし、犬や猫達には開けにくくという、相反した要求のようなものがあるため、ゴミ箱はなかなか悩ましいアイテムです。私もまだ色々と模索中の課題なのです。

そんな私が、現在お勧めしている収納組み込みタイプのゴミ箱のご提案は、手前に引き倒して開くタイプです。手のひらを上にして引っ掛けるような取っ手に工夫すれば、犬や猫には開けにくい扉とできます。犬猫には勝手に触れなくて、それでいて人にも使い勝手がよい状態となります。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

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