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  3. 第73回 キッチンの衛生管理と安全対策

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.73

犬や猫と快適に暮らすためのインテリア

キッチンの衛生管理と安全対策

キッチンは危険が多い

犬や猫には入らせたくない場所の筆頭といえば、キッチンでしょう。そこには、火の元や刃物など触れると危険なものと、タマネギなどの犬猫が食べると危険な食べ物、そして洗剤といった危険な液体も置いてあります。中大型犬では前足をキッチン台の上に乗せて立ち上がることができるために、カウンターの上の物を落としたり火傷をしたりという事故の報告があります。台の下の引き出しを開け閉めしている時に犬猫が覗き込んで足先を挟むなどの事故の報告もあります。もちろん、抜け毛が調理中の食べ物に入ってしまうと、人への衛生面への問題もありますね。そのため、キッチンへの出入り口にはゲートをつけるなど、立ち入り禁止対策がなされるのが一般的です。ただ、猫は犬と違って上下運動もあるので、配膳のための小窓やキッチンカウンターから出入りができてしまうため、立ち入り制限が難しくなります。

キッチン周りの整理が効果的

猫にキッチンの上に乗らないようにトレーニングするのは至難の業です。

そこで、私がご提案するのは「猫は、人が見ていないときにキッチンに入るもの、台には上がっているもの」と割り切って、キッチン周りを整理してみることです。その上で、キッチンの上に上りたくなるような誘惑を極力減らすのです。つまり、カウンターの上に、物を置かないように収納を工夫すること。調味料も包丁もしっかりしまうように工夫します。収納することが不便にならないようにという、機能的な収納があるキッチンユニットの商品も多いので、ユニット交換の時にはそういった「よく使う物も収納する」という視点で選ぶのをお勧めします。置いてあるものが少なければ、掃除も簡単です。人の知らぬ間にキッチンの作業台の上を猫が歩いていたとしても、調理する時にエタノールなどでサッとカウンター全体を拭き掃除をして作業に入れば衛生的です。

レンジフードにも注意

スタイリッシュなキッチンで人気の、浅型のレンジフードの場合、猫がレンジフードに乗ってしまうという相談がありました。スタイリッシュなフードは、作業をしている人を上から眺めるのに丁度よい場所にある棚に見えるようです。人の作業を見るのが大好きな猫には大変魅力的な場所になるのでしょう。可能ならば、フードは深型やマントル型にするか、団らんの場所(リビング)にいる猫から、フードの存在が見えにくいようにしておくなど工夫が必要でしょう。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

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    猫の「あったらいいニャ~」に応えるための、賃貸やマンションでもチャレンジできる工夫を案内しています。

    ワニブックス刊 定価(本体 1,300円+税)