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  3. 第75回 猫のトイレ場所の工夫

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.75

犬や猫のストレス回避

猫のトイレ場所の工夫

猫のトイレ場所の注意点

犬のトイレの話に引き続き、猫のトイレ場所の注意点も触れておきましょう。

私の所に持ち込まれる「犬猫との住まい方のご相談」では、猫のトイレについての困り事も多くあります。用意したトイレトレーを使わず、布団や床の上で排泄してしまうなどの不適切な排泄や、トイレ使用の際に周辺がトイレ砂で汚れてしまうといった事などです。

用意したトイレでちゃんと排泄してくれない、という問題の要因はトイレのサイズが小さいという物理的な事から、トイレで排泄をしているときに大きな音がしたりといった嫌な経験をしてしまい入れなくなってしまった、などの心理的な問題まで様々あります。心理的な問題は行動治療の獣医師に相談しなくてはならないですが、トイレのサイズや砂の質感といった物理的な猫の要望に対しては、家族としてできることは多いでしょう。

トイレの物理的な問題とは

物理的な問題とは具体には、

・配置の問題(トイレトレーを置いている場所など)

「場所が猫に分かりにくい」「食べる場所と寝る場所に、近すぎる」「主に生活する部屋から遠い」「寒い」「出入り口付近で、落ち着けない」「進行方向に障害物がある」

・大きさや触感などが適切でない

「トイレ砂が好みでない」「トイレが汚れている」「臭いが気に入らない」「トレーサイズが小さすぎる」など。

「トレーサイズが小さい」は、配置の問題の「進行方向に障害物がある」と関係していています。排泄しているときに顔やシッポが壁に触れたりしないか、入ったら戻るときに汚れた砂の上を歩かず出て行けるか、というのが重要です。多少サイズが小さいトレイトレーであっても、トレー周辺を歩ける程度の空間が確保されていれば、体が一回りできる程度のサイズのトレーであれば、猫達はどうにかやりくりできてしまいます。そのため、ちょっと不便を感じていることを人に気がついてもらえないこともあるようです。

トイレトレーの置き場所

第40回「猫のトイレの工夫」で、流し台の下も調度良いサイズの空間です、とご提案していますが、犬のトイレと同様に、トイレトレーに用を足しに入ったら、出るときにはトレーの外を歩けるだけの周辺空間があることの他、トレーの縁に前足をかけて背伸びをするようにして排泄しても耳が当たらないなどの高さが必要です。猫は細かい砂状のトイレ砂が好まれますが、人の都合ではトイレ砂を大きめの物にしがちです。しかし、脚触りが悪いと猫が感じると、トイレの縁に前脚をかけたりすることが多くなるのです。また、方向転換はトイレトレーから出て行うようになります。出入りする度に砂が周辺に散らばりやすいので、トイレトレーの置き場所は、できれば土間のように小下がりになった低い場所になっていると清潔でしょう。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

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