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  3. 第78回 犬と猫の食事場所

わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.78

犬や猫と共に暮らすためのアイデア

犬と猫の食事場所

健康状態を把握するための工夫

犬や猫達の日々の健康状態を把握するためには、食事や水分補給の様子と排泄物について、日々チェックすることが大切です。フードの栄養素を把握し、適切量を食べられたかどうか。また、食べたものが正しく体に吸収されているのかは排泄物の形や量、臭いなどで確認すると健康状態がおおよそ判断できます。そのコごとに把握しなくてはいけませんから、トイレの数を頭数分そろえるのと同じく、食事場所は、飼い主の目が行き届きやすい場所を基本に、頭数分を用意するとよいでしょう。また、どのような位置に配置するかによって、管理のしやすさも変わります。2匹以上飼っているお宅では、ごはん置き場の高さ、トレーの形を猫ごとに変えて、そのコが「自分の食事場所はココなんだな」と認識しやいすいよう工夫してあげましょう。

犬と猫の食事の注意

犬と猫を一緒に暮らしているお宅は工夫が必要です。第24回「食卓の位置などの配慮」で犬と猫が一緒に生活している場合の食事の注意について触れました。もう少し細かく考えてみましょう。猫はごはんを一度に完食せず、少し食べては残すという「ムラ食い」をします。一方、犬は出されたごはんを「一気食い」します。そのため猫のごはんが余っていると、犬が食べてしまうこともあるのです。猫用のフードは動物性タンパク質が豊富なので、犬にとっては魅力的なようです。ちょっと食べるくらいなら平気ですが、継続的に食べ続けると栄養が不足するので、猫の食事場所は犬に届かないような場所にする必要があります。犬は猫のように高くジャンプしないので、犬のごはんは「低い場所」に、猫のごはんは犬が届かないカウンターなどの「高い場所」に置くと良いでしょう。高くとも人の胸の高さ程度にしておくのか管理がしやすいポイントです。

猫たちの食事場所を考える

猫では、猫同士に年齢差がある場合は、必然的に身体能力が低い老猫や子猫が、低いほうの場所で食べることになります。ただ、飼い主が見ていないと、動きが早く力の強いコが、少しのんびりしていたり気の弱いコの猫のごはんを食べてしまうコもいます。そうなると個々の食事量を把握しづらくなるほか、ごはんを取られた子は栄養不足に、取ったコは食べ過ぎて肥満になる可能性があります。また、猫の性別、年齢、健康状態などによって別々のフードを与えたい場合も困りますね。その場合は、そのコごと、部屋を別に食事場所を確保するなどで対処しましょう。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

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