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わんだふるな住まいの知識

ペットと暮らす住まいのポイントをケーススタディでご紹介します。

no.79

犬や猫と共に暮らすためのアイデア

猫の食事場所をキャットウォークに組み込む

一つのお部屋で別々に給仕する方法

第78回「犬と猫の食事場所」では、猫同士でも身体能力が低い子が食事を安心して取れないという問題があることにふれ、そのような場合には、別々の部屋で給仕するという方法をお話しました。3匹程度であれば、棚などの段差を利用して、個々に食事場所として設定できると、一つのお部屋の中でも別々に給仕が可能になります。猫ごとに年齢別や療法食を食べさせる必要が出てきたら、乗っていいテーブルや棚の上を食事場所として整備する検討をしてはいかがでしょうか。

食いしん坊対策

段差を利用して給仕する場合でも、皿を出す順番とタイミングが重要ですが、順番は、まずは食いしん坊で素早い(気が強い)コに上の段で食事を差し出します。次に、食いしん坊がお皿に口を付けたタイミングで、低い位置で遅い(気が弱い)コに食事を出すという順序です。ここで問題となるのは、食いしん坊ほど動きが速く、自分のお皿が空になる前に、他のコのお皿から先に食べてしまおうと考えるコが多いことです。

食いしん坊対策には、食いしん坊の給仕位置から、後から出すお皿は視界に入らない位置になる場所に出す事です。視界に入らなければ、まずは自分のお皿から食べるようになります。食いしん坊が早く食事を終えても、他のコのお皿の前に来るには、段を降りてくるという手間と時間がかかります。弱いコも食いしん坊の視線を感じないので落ち着いて食事ができるようになる、というわけです。

段差の高さの目安

また、人の機能性のために、段差は、人の目の高さから膝の高さを目安としておくことが重要なポイントです。人の腰の高さならば、人は「かがむ」動作がなくなり、素早く給仕のお皿出しができます。皿からフードを引っ張り出して食べがちな猫ですが、汚れも確認しやすいので、清掃をしやすくなります。室内にキャットウォークなどの高さを利用した猫アスレチックがあれば、是非、人の腰高さ周辺の段を、食事場としても活用してみてください。通路幅でも食事はできますが、散らかりを考えればランチョンマットサイズで少し空間を広めに空けておく方が望ましいでしょう。また、使う段差は、3匹程度ならば2段程度でも可能です。

profile

金巻先生(一級建築士)

一級建築士・博士(工学)・家庭動物住環境研究家一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰。

犬や猫といった家庭動物(ペット)との暮らしをテーマにした建築設計と、環境コーディネーターとして活動。適正飼養と環境整備に向けた学術研究も進めている。著書に『犬・猫の気持ちで住まいの工夫』(彰国社)、『ねこと暮らす家づくり』(ワニブックス)、など。ペット防災のNPO法人ANICE理事。東京都動物愛護推進員。H25年度日本建築仕上学会学会賞(技術賞)「ペット共棲住空間用の建材に関する研究と技術開発」

  • 「猫と暮らす住まいのつくり方」

    ライフスタイルやプランに応じた住まいの実例が豊富!猫にとっての快適ポイントや危険対策がわかる!業者選び、内装材、予算などのお役立ち情報も!

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